
介護福祉事業における監査とは、サービスの質担保や介護報酬の不正請求を防ぐ上で必要な行政手続です。
行政の監査は、定期的な運営指導(旧実地指導)とは異なり、著しい不正や基準違反の疑いがある場合に実施されます。
そこで、介護福祉事業における監査について、実施される理由や確認される項目を解説します。
介護福祉事業で行政の監査が実施される理由は、介護保険制度の健全運営と、安心できるケア提供体制の維持・構築のためです。
給付費は、税金や保険料から支払われるため、正しく使われているか厳しく確認することが必要といえます。
また、利用者に対する虐待や不適切な身体拘束などが行われないように、サービスの質低下を防ぐ人権擁護と安全確保も重要だからです。
介護事業所は、介護保険法や基準省令に従って正しく運営されることが必要であり、悪質な隠蔽工作や違反は行ってはいけません。
行政による調査には段階があります。
まず、通常の運営指導を行った際に、重大な問題が発覚すれば監査へ切り替わる流れです。
具体的には、以下のケースで指導が行われます。
①定期で実施される指導の場で、悪質な違反などが見つかった場合
②内部告発や利用者等からの通報など、現場に不満を持つ職員や家族から具体的な情報提供があった場合
③介護報酬のレセプトに不自然な傾向が見られるなど異常を検知した場合
④施設内で重大な事故や利用者のケガが発生し、事業所の管理体制に疑義が生じた場合
介護福祉事業に監査が入るとき、行政の調査官は客観的な証拠書類の整合性を徹底的に確認します。
たとえば、以下に関して確認を行うことになるでしょう。
・人員配置基準を遵守しているか(ケアマネジャー・看護師・ヘルパーなどの配置人数が規定を満たしているか)
・勤務実態とタイムカードの整合性は取れているか(出勤簿・シフト表・給与明細に矛盾がないか)
・介護記録やケアプランを正確に記録しているか(サービス提供日時や具体的な内容を漏れなく記録しているか)
・加算算定要件を満たしているか(リハビリや認知症対応などの専門的加算が規定された人員と手順で実施されているか)
監査により、重大な違反が認められると、厳しいペナルティが科されます。
平時から、適切にリスク管理を行うことが欠かせません。