イギリス・イングランドとウェールズでは、2020年4月半ば時点で新型コロナウイルスの影響により死亡した方の3割が介護施設で亡くなっていることが明らかになっています。
2020年4月11~17日までの間で新型ウイルスによる感染症により、イングランドとウェールズで2千人という方が介護施設で亡くなったとしておりパンデミック(世界的流行)による影響が顕著に表れている状況です。
欧州と世界に未曽有の難題を突きつけている状況であり、特に欧州各地の介護施設では集団感染が報告され、関連死も多く発生するなど高齢者がその犠牲になりやすいことを証明していると考えられるでしょう。
新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが懸念される中で、効果的な治療法やワクチンなどは確立していない状態です。
ほとんどの国が外出自粛などステイ・アット・ホームを勧奨・強制することとなり、集会・イベントの中止に教育機関・公共スペースの閉鎖など様々な施策がとられました。
英国全体の感染者数も減少したかに見え、感染第1波のピークは越えたようにも思えるでしょう。
しかし引き続き検査や濃厚接触者を追跡し、パンデミックがこれ以上拡大しないための監視戦略などが必要です。
もし身体的に離隔されるようであれば、精神的に追い詰められることのないようにしなければならないと考えられます。
英国、イタリア、スペイン、フランスなど複数の地域で感染者が急増したことにより、医療システムには大きな負荷がかかり公共サービスにも様々な問題を生じさせたといえます。
将来のパンデミックに向け、それぞれの国がどのように備えるか考えていかなければなりません。今回で得られた教訓を次のパンデミックに備え、状況を改善するために役立てることも必要となるでしょう。
日本でもクラスター(集団感染)が各地の介護施設において発生するなど、1人が感染したときには他の入居者やスタッフに感染する可能性が極めて高い点に十分注意しておくことが必要です。
パンデミックに対する準備は、自体が発生したときに対応できる公衆衛生の対策を行い、流行を監視・報告できる体制の整備、さらに保健医療システムが能力発揮できる状態にすることです。
密になりやすい都市や、リスクの高い方が過ごしている介護施設などでも、よりパンデミックに対する危機意識を高め、できる備えは何か検討していくことが必要になると考えられます。