これまでは病院に入院していた高齢者は、急性期を脱することで早期に自宅や地域に送り出すという仕組みが強化されつつあります。
そのためすぐに自宅に帰ることに不安を感じる高齢者などは、退院後は介護施設に入所するというケースも少なくありません。
病院に入院する期間が短期化するにつれ、介護施設で療養することに比重が高まっているといえるでしょう。
そこで、介護施設では利用者の療養ニーズとそのリスクマネージメントについて考えていくことが必要です。
利用者の既往歴などによって異なるものの、要介護となった原因の疾病発症からまだ日が浅いのなら、心身機能の低下が著しく進んでいるか、疾病が再発するリスクが比較的高めであることを念頭に入れておきましょう。
たとえば脳梗塞によりマヒを発生させているのなら、機能訓練を受けていてもまだ生活動作に不安があり、バランスを崩しやすい状態です。
経口摂取からの復帰中という場合では、食事の際に誤嚥などのリスクに十分注意しなければなりません。ベッドで生活する時間が増えることにより、褥そうなどのリスクも考えられます。
また、病気からの回復状態が十分でない状況において、気候・気温の変化に身体が対応できない場合もある点も見逃せません。異変が発生した場合には、その変化を早期に察知し速やかに医療につなげることが必要となります。
介護施設には十分な療養管理が求められますが、仮に管理にミスがあれば重大事故につながる可能性もあります。
服薬管理にどのように対処していくのかという点や、介護スタッフのたん吸引など療養ケアにおいて拡大された範囲への管理も必須といえます。
利用者の異変に素早く気がつくことのできる体制を整備し、リアルタイムで情報を共有できるようにしておきましょう。
一連の流れにおいてそれぞれの手順の精度を高めることが必要ですが、少しの異変から重大な結果が生じるリスクを十分認識しておくべきです。
利用者が重度化していけば、フォローする余裕すらなくなる可能性もあります。それまでの事故防止や対処のフローはしっかりと機能できているか改めて確認し、もし抜け穴があるのなら埋めるようにしましょう。
少しずつ重度者が増えていけば、現場環境はこれまでと違ったものに変わります。まだ大丈夫と安心していれば、対応に間に合わなくなることも考えられますので、早急に対応できるような策を検討するようにしましょう。