新型コロナウイルス感染症は、大恐慌の再来といわれるほど様々な業界や産業にその影響を及ぼしています。
介護施設でも集団感染を防ぐため、様々な対策を行いながら奮闘していることでしょう。
ただ、コロナ不況やコロナ大恐慌という言葉から、リーマンショックのときのことを思い出した方もいることでしょう。
新型コロナウイルス感染症の影響により、失業者などが増えたことで人材を採用しやすくなると感じた方はいないでしょうか。
リ―マンショックのときも、求人を出せば応募が増えたなど、当時のように今回もよい反応を期待してしまう経営者もいるかもしれません。
ただリーマンショックのころとは根本的な条件が異なるため、新型コロナによる不況で必ず求人応募が増えるとは限らないことに注意してください。
まずリ―マンショックのときとは労働力人口が異なります。25~44歳までの労働力人口をみたとき、2009年は2,887万人だったのに対して2019年は2,579万人ですでに310万人減少しています。
応募者数は一時的に増えたとしても、介護経験のない方や中高年の応募が多数を占めることがと予想されるので、介護現場が更に疲弊してしまう可能性も出てくるでしょう。
そして景気が回復すれば辞めてしまうなど、せっかく教育しても意味がないと感じてしまうかもしれません。
リーマンショックの時代といえる2008~2009年頃の要介護者数は約460万人であったのに対し、2019年には約650万人まで増加しています。
介護職員数も、123万人から183万人に増加しているので、十分人手は足りるのでは?と考える方もいることでしょう。
しかし要介護3以上の人手をより必要とする方から重度の方が増えていることで、仕事の増加率に追いついていない状況なのです。
そして高齢化率が3割を超えることが予想される2025年問題も無視できません。
2035年には要介護者数が約960万人になるという予想もあるのに対し、介護職員数は約79万人不足することが予想されています。
介護業界は不況に強いといわれていますが、そもそも人手が足りていない状況でよいサービスが提供できるとはいえません。
将来の採用計画が運ばなくなることも考えられるので、コロナ不況により一時的に他の産業よりも応募が増えたと浮かれないことが必要です。