介護施設などの介護事業所に限らず、どの会社などでも人事担当の方は、人材採用や育成を担当します。そしてそれ以外にも、違反行為を取った社員などに対し、懲戒処分することもありますが、企業の秩序や風紀を乱す行為もその対象となることがあります。
懲戒処分は企業が社員に対し、不利益処置として行うことであり、本来果たさなければならない業務や規律に違反したことへの制裁処分といえます。
そのため基本的なルールを把握し、適切な処分が必要です。
たとえ介護施設など事業所内ではなく、私生活の中で行った行為だとしても、その行為が企業秩序を侵害すると判断されれば解雇理由となります。
原則として私生活上の行為は、企業秩序の維持目的の懲戒処分の対象とはならないものの、その行為で企業秩序に具体的な損害を発生させたことが具体的に認められるならその限りではないということです。
非行とは犯罪など違法行為や社会通念上の非違行為と認められる行為ですが、私生活の領域での企業外非行も懲戒の対象になりうるといえます。
ただ、懲戒は企業秩序維持を目的とするため、懲戒対象となる場合も企業の秩序を侵害することでなければ認められません。
そもそも介護施設で働くスタッフの私生活上の行為は、企業秩序とは関係がないため原則として懲戒対象にはならないものの、著しく不都合な行為や会社の名誉・信用を著しく棄損する行為なら就業規則上の懲戒事由とされます。
男女関係については個人の領域のため、仮に不倫という関係だとしても労働契約外の問題であり、行為そのもので懲戒処分に該当することは難しいでしょう。
ただ、例外として夫婦間トラブルが介護事業所などに持ち込まれることとなり、職場で愁嘆場がたびたび演じられるなど、社内秩序影響があるのであれば懲戒解雇の対象にもなりうるということです。
さらに介護事業所内の不倫などで、一方のみを解雇し一方は配転など、処分に差をつける場合には注意が必要となります。
関係に陥らせた経緯などで、積極的に動いた側やセクハラ行為とみなされる側を厳しく処分することはできますが、性別の違いだけで扱いを差別することはできません。
職場環境の特殊性が強調された業種での職員同士の不倫などを理由に、職場の風紀・秩序を乱したことで懲戒解雇事由に該当するケースとは、企業運営に具体的に影響を与えるものに限るといえます。