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公的介護保険の指定事業者に加入が義務付けられている「賠償責任保険」とは

2022.03.12
分類:リスク

公的介護保険の指定業者には、賠償資力を確保することが義務付けられています。

そのため、賠償責任保険に加入しなければ指定申請は通らなくなると考えられますが、介護事業者の賠償義務として挙げられることは次の3つです。

・利用者にケガを負わせる

・利用者の所有物を壊す

・ケアプラン作成ミスによる経済的負担

これらの賠償義務に備えるためにも「賠償責任保険」は必要であるといえますが、具体的にどのようなことが補償されるのか説明していきます。

賠償責任保険でカバーされる事故の例

賠償資力を確保するためにも「賠償責任保険」で備えることは必要と考えられますが、主に次のような事故による損害をカバーすることができます。

管理財物破損などの事故事例

利用者が使用している介護ベッドを操作ミスで壊してしまうなど、利用者の所有物を管理している間で起きる事故に備えることができます。

業務遂行中に発生する事故事例

高齢者をベッドから転落させてしまいケガを負わせた場合や、枕元に置かれたていた利用者の眼鏡を踏んで壊してしまったという場合などでも補償されます。

施設の設備不備による事故事例

介護施設の階段に備え付けていた手すりが壊れていたことで利用者がケガを負ってしまったケースやなどでもカバーされます。

業務の結果で発生した事故事例

介護施設で洗濯していた利用者の衣服の漂白剤が落としきれておらず、利用者の肌に炎症を起こしてしまった場合などです。また、提供した食事により食中毒を起こしてしまったなども該当します。

また、経済的損失として、ケアプラン作成ミスで本来であれば利用できるはずのサービスを受けることができなくなってしまったケースや、要介護認定の申請代行を忘れていたために給付開始が遅れてしまったケースなどが該当すると考えられます。

人格権侵害などの事例

介護事業所のホームページに、利用者から許可を得ず無断でケアプランなど掲載してしまい、プライバシー侵害を訴えられてしまったというケースなどが該当します。

 

賠償責任保険の保険料

賠償責任保険で支払う保険料は、施設の理事・役員・職員などの人数により変わります。

目安としては、年間で2030万円程度です。

賠償責任を負う必要のある事故は起こさないようにすることが大切ですが、徹底して事故防止を行っていたとしても起きてしまうことはありますので、指定業者になるためだけでなく備えとして加入したほうがよいでしょう。