介護現場では利用者がケガを負わないように細心の注意を払ってケアを行っていますが、どれほど注意していても事故が起きてしまうこともあります。
もし介護施設などで事故が起きたとき、その原因が介護施設の過失によるものだったとしたら、利用者やその家族が慰謝料など損害賠償請求をする可能性もあると考えられるでしょう。
そこで、介護現場で事故が起きたとき、どのような損害賠償を求められる可能性があるのか、慰謝料の具体的な内容について説明していきます。
介護現場で事故が起きてしまったとき、請求される損害賠償金は次の要素で決まります。
事故が起きたために支払った費用で、主に次の費用が含まれます。
・治療費
・通院交通費
・入院雑費
これらの費用はかかった金額(実費)を請求されることになるため、どのくらいの費用がかかったか、領収書などを提出されることになるでしょう。
なお、入院雑費は1日あたり1,500円程度が請求の目安です。
もしも事故が起きていなかった場合、得ることができていたと考えられる利益であり、主に次の2つが挙げられます。
・逸失利益
・休業損害
どちらも基礎収入を前提に計算することになります。
精神的苦痛に対する金銭補償であり、次の3つに分けて請求されることになるでしょう。
・死亡慰謝料…事故に遭った方が亡くなったことに対する金銭補償
・後遺障害慰謝料…事故に遭った方に後遺障害が残ったことに対する金銭補償
・入通院慰謝料…事故に遭った方が入院・通院を余儀なくされたことに対する金銭補償
損害によって、複数の慰謝料を合計し請求されることになると考えられます。
死亡慰謝料は具体的な事案により異なるものの、1000~2000万円程度が多く、固有の慰謝料として100万円程度、損害請求されると考えておいたほうがよいでしょう。
後遺障害慰謝料については判断が難しく、算定にあたり後遺障害等級を決めることが必要ですが、交通事故と違って介護事故では後遺障害等級を認定する機関が存在しません。
事故によってどのような後遺障害が残ったのか、自ら立証してもらうことが必要となり、その後、後遺障害等級を参考に金額を決めていくことになると考えられます。
入通院慰謝料は、入院期間と通院期間により金額が決まることが多く、期間が長いほど慰謝料の金額は増える傾向にあります。
もしも事故後、被害を訴えた方が弁護士に依頼したときには、総損害額の1割程度が弁護士費用として請求金額に上乗せされることが多いようです。