今後、日本ではさらに高齢化が進んで行くことが予想されています。
そのため、介護施設を売却や買取したいという動きも活発になると考えられますので、もし既存の介護施設を売却するときにはどのような手続きを行えばよいのか把握しておきましょう。
介護施設を売却するということは、その運営法人を売ることになります。
他の企業に買い取ってもらうために、自社の株式を他社に譲渡する株式譲渡や、それぞれの法人が1つの企業に統合する吸収合併といった方法があります。
また、他にも複数の会社を立ち上げ事業を行っている場合には、介護事業のみを切り離して譲渡するといった方法も用いられています。
介護施設を売却するとき、次のような流れで手続きを進めていくこととなります。
介護施設を売却するときには、まず買い取ってくれる相手を探すことが必要です。
そこで、M&A仲介会社、M&Aアドバイザリー、金融機関、事業引継ぎ支援センターといった公的機関など、専門家への相談を行うこととなるでしょう。
M&A仲介会社などに仲介してもらう際、仲介会社や売却相手に自社の情報を明かすことになりますので、情報が漏洩してしまうことを防ぐために秘密保持契約を締結します。
条件に合う買い手を数十社程度洗い出し、その中からより有力とされる相手を選び、順番にコンタクトを取る相手を選出します。
交渉する売却先の候補が決まったら、実際に相手企業とコンタクトを取り代表者と面談することとなります。
条件の交渉だけでなく、人間性や経営に対する考え方や方針などを確認していきます。
もちろん、売る側はできるだけ高く買い取って欲しいと思うものですし、反対に買う側はできるだけ安く売って欲しいと思うものです。
売却価格の交渉は自らの要求ばかり主張せず、互いの意見を尊重しながら折り合いを付けることが必要です。
面談後に売却内容が決定すれば、あとは意向表明書の提示、基本合意書の作成という流れになります。
基本合意書は最終的な決定事項ではありませんので、後に変更することは可能です。
もし面談での内容で変更がなければ、最終合意といえる詳細な内容で作成してもよいですが、後で大幅に内容が変わる可能性があるなら基本的な内容だけにとどめておいたほうがよいでしょう。
会社の一般的な重要項目を調べるデューデリジェンスを実施します。
財務状況、事業内容、定款や登記事項など、目的に応じた内容を調査することとなるでしょう。
デューデリジェンスで特に問題がない場合、最終的に売却契約を締結して売却を確定させます。
このとき締結した契約書は法的効力が発生しますので、後で内容を破棄することはできないと理解し、納得のできる内容で締結するようにしましょう。