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特別養護老人ホームの配置医師が算定できるものとは

2022.06.24
分類:その他

新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、かかりつけ医の役割や在宅医療などに関心を持つ方も増えていますが、介護と医療のはざまにどのような算定が必要なのでしょう。

介護と医療の給付調整は容易ではありませんが、たとえば特別養護老人ホームの配置医師で算定できるものには何があるのか説明していきます。

特別養護老人ホームの「配置医師」の役割

特別養護老人ホームには、常時介護を必要とする比較的要介護レベルの高い方が生活しています。

在宅で生活することが難しい高齢者に対し、生活の場と介護サービス提供する施設が特別養護老人ホームです。

そのため特別養護老人ホームでは、利用者の入浴・排泄・食事などの介護を行い、日常生活の世話や機能訓練、健康管理・療養上の世話なども行います。

その中で設置される「配置医師」とは、特別養護老人ホームの運営規程にある次のことを行うドクターです。

・入居者の健康管理

・入居者の定期健康診断・予防接種

・入居者の支援

施設と契約を結んだ上で医学的業務を行う医師であり、施設の「かかりつけ医」としての役割を担います。

特別養護老人ホームは人員基準に入居者の健康管理と療養上の指導を行う医師と、医務室を設置することが必要とされています。

そのため「配置医師」は、利用者の定期的な診察を行うことを主な業務となります。

「配置医師」に求められる役割

特別養護老人ホームに設置される「配置医師」に求められる役割は以下のとおりです。

・定期的な利用者の回診(健康状態・生活環境の適正・心身状態にあった食事・入浴に対するアドバイス等含む)

・処方箋の発行

・臨時の往診・処置

・ターミナルケアから看取りまでの関わり

・主治医意見書作成

・外部医療機関との連携

・家族に対する説明

・急変などの対応(指示照会)

 

介護と医療の給付調整の方法

「給付調整」とは、利用者に行った医療行為について、介護保険と医療保険のどちらで評価するか決めることです。

定期的な回診は介護保険で評価されるため、再診料・往診料・訪問診療料の算定はできません。

ただし必要に応じて発行した処方箋については、医療保険で保険請求することになります。

併設されている医療機関を含む配置医師は算定に制限があるものの、「看取り」や「急変時の対応」は特別に必要があり行う診療として除外されるため、一部算定が認められます。

利用者やその家族が配置医師以外の医師の診療を求めることに対しては制限があるものの、配置医師以外の診療を配置医師の求めに応じて対応してもらうことはできます。