介護施設で亡くなった場合に、「相続税」の申告において「小規模宅地等の特例」を適用するケースが増えています。
そこで、特例の適用には具体的にどのような要件を満たせばよいのか、要介護認定申請中に利用者が亡くなったときの認定の扱いについてもあわせて説明していきます。
亡くなった場所が介護施設であっても、被相続人(亡くなった方)が入所するよりも前に住んでいた家の敷地用に使われていた宅地などは、以下の一定要件を満たすことで被相続人の居住用に供していたとされます。
・相続開始直前に、被相続人が要介護認定または要支援認定を受けている
・老人福祉法等に規定する介護施設などへ入所している
・被相続人の居住していた家は、施設入所後に事業用または被相続人以外の居住用に供されていない
要介護認定または要支援認定を受けていたか判定する時期は、相続開始の直前のタイミングです。
介護施設に入所していた被相続人が、要介護認定を申請している途中で亡くなり、亡くなった後で要介護認定されたときはどうなるのでしょう。
この場合、要介護認定は申請のあった日にさかのぼり効力が発生するため、相続開始直前に要介護認定を受けていたととして取り扱うことが認められています。
介護施設入所中に自宅を相続したときの小規模宅地等の特例適用の判定について説明していきます。
たとえば被相続人が有料老人ホームに入所するよりも前に自宅を居住用に供していたものの、有料老人ホーム入居中に自宅を配偶者から相続し、その家に戻ることなく亡くなったとします。
この場合、被相続人は老人ホーム入居直前には自宅を居住用に供していたものの、自宅の所有者ではありませんでした。
自宅を相続で取得した後に居住用に供していないため、小規模宅地等の特例の対象になるのか判定が難しいと考える方もいることでしょう。
このようなケースにおいて、相続開始直前に被相続人の居住用に供されていなかった自宅が、小規模宅地等の特例の対象になるかは、被相続人が有料老人ホームに入所し居住用に供されなくなった直前の利用状況で判定するとされています。
そのとき、被相続人が自宅を所有していたかについては、法令で特段の規定は設けられていないため、小規模宅地等の特例の対象になり、適用させることはできると考えられます。
ただし適用判定は難しいため、十分に要件を確認するようにしてください。