介護事業者が介護施設建築を考えるとき、どのようなコンセプトの建物にするのか考えなければなりません。
高齢者の生活を守ることのできる施設として、利用者の尊厳を尊重しつつ、プライバシーに配慮できる施設づくりが必要です。
そして介護を行うスタッフにとっても、働きやすい現場でなければならないといえるでしょう。
介護施設を建築するときには、入居者のための建築ではなく、入居者と介護者のための建築をコンセプトにしていくことが求められます。
利用者の暮らしやすさだけではなく、スタッフの物理的・心理的な働きやすさまで踏まえた建築をコンセプトにした介護施設をつくりましょう。
介護施設は、利用者の住まいとしてだけでなく、介護者の職場としての2つの役割があります。
そのため、介護施設の建築計画では、介護現場として次の4つの環境づくりが必要といえるでしょう。
・利用者と介護者が一緒に過ごす環境づくり
・リスクマネジメントに対応できる現場
・要介護度の重度化や認知症増加に対応できる設備が備わっている
・マンパワー不足をカバーできる職場
それぞれ説明していきます。
介護施設で過ごすのは、利用者だけでなく介護者であるスタッフも同じです。
利用者が安心して生活できる場であることはもちろんのこと、介護者も気持ちよく仕事ができる環境づくりが不可欠です。
利用者の転倒など、介護事故が起きたときの対応は事業者や介護者に求められます。
介護現場の事故リスクを減らすリスクマネジメントに対応するためにも、介護方法を工夫する以外に建築から提案すること必要といえるでしょう。
介護施設で生活する利用者の心身の状態は様々です。要介護度が重度化している方もいれば、認知症の方も増えているため、対応できる建築プラン・ディテール・設備が備わっていることが求められます。
介護ニーズが急増する中、専門的な技能や経験のない方が働いている現場も増えています。
このようなマンパワー不足をカバーできる職場づくりが必要であり、建築プランや設備への移行も求められています。
現場の変化は様々な介護サービス提供事業所で起きており、利用者の重度化や認知症による生活自立度低下は変化させる大きな要因といえるでしょう。
利用者が使いやすい施設であることと、介護者が働きやすい施設であることの、双方から対応を検討することが必要です。