日本は高齢化が進んでいるため、介護施設の運営会社が異業種であるケースはめずらしくありません。
たとえば不動産業・建設業・保険業・警備会社・飲食業など、一見、介護分野とは何のかかわりもないように感じる業種が次々と新規参入しており、他の施設との差別化に成功しています。
今後、本業がうまくいかなかった場合には、介護業界へ流れ込む異業種も増える可能性もあるため、競争激化することも予想されます。
そこで、介護施設の運営会社にはどのような業種が多いのか、異業種の新規参入が増える理由と具体例を紹介していきます。
介護業界への異業種参入が増えているのは、介護ニーズが大幅に高まっているからです。
日本の総人口に占める65歳以上の比率は世界一ともいわれており、高齢者数は今後も増え続けます。
そのため介護事業は成長すると見込まれていますが、一方で介護事業者の廃業や破綻も増えており、生き残りをかけた戦略が重要とされています。
近年、異業種大手の参入が続いていますが、2023年11月末には介護最大手のニチイ学館を傘下とするニチイホールディングス(HD)について、日本生命保険が投資ファンドの米ベインキャピタル系のファンドから買収するニュースが発表されました。
過去にはSOMPOホールディングスが居酒屋大手のワタミから、その子会社である「ワタミの介護」を買収して本格的に介護業界へ参入しています。
また、投資ファンドMBKパートナーズがツクイを買収し、さらにユニマットグループの介護事業者も傘下へ収めるなど動きは活発化しているといえるでしょう。
さらに教育事業の学研ホールディングスが集合住宅に見守り機能を付けたサービス付き高齢者住宅を展開するなど、近年、異業種大手の参入が続いています。
異業種の強みを活かして介護業界へと新規参入するケースが増えたのは、2000年に介護保険制度がスタートしたことがきっかけといえます。
医療事務・教育事業・警備会社・飲食事業・建設業・住宅設備機器メーカー・電機メーカーなど、色々な業界から新規参入するケースが見られます。
異業種の事業者は、後発参入を強みに変えて差別化を図り、強みを生かしたサービス提供を実現させています。
既存の介護事業者が新規参入の企業に対抗するためには、大手に負けない強みをアピールできる体制を整備することが必要です。