介護施設の多床室型とは、従来型とも呼ばれており、集団ケアを行うことが特徴です。
4人部屋が中心であり、複数人が同じ部屋で共同生活を送ります。
ユニット型個室の場合、利用者それぞれが個室で過ごすため、多床室型よりもプライバシーが保護されやすいといえるでしょう。
そこで、多床室型について、ユニット型個室との違いやメリット・デメリットを紹介します。
多床室型は、従来型と呼ばれることもある古くからある部屋のスタイルです。
集団ケアが採用され、複数の利用者を色々な介護職員が担当するため、効率的にサポートしやすいことがメリットといえます。
4人程度が1つの部屋で過ごすため、利用者も個室費用の負担がなく、費用面ではメリットがあります。
ユニット型には、完全個室以外にも準個室と呼ばれていた個室的多床室があります。
完全個室であれば、1人で独立した空間の使用が可能となる一方で、個室的多床室は大部屋だった居室を簡易的な壁で仕切った個室タイプです。
天井と壁の間に一定の隙間は生じてもよいとされているため、プライバシーが完全に守られるわけではありません。
そのため2021年度の介護報酬改定では、ユニット型個室的多床室(ユニット型準個室)の新設は禁止しています。
多床室型は、介護職員が多数の利用者をケアする集団ケアであるため、介護ケアの質やプライバシーの観点で問題と考えられがちです。
ただ、居室の多くは4人部屋が中心となっており、たとえば認知症利用者に不穏な動きが見られたときには他の利用者が知らせてくれるといったメリットはあります。
また、医療機関などで術後譫妄の患者の場合は、大部屋の方が回復がよいともされています。
意識レベルの低い方も、大部屋の方がにぎやかでよいと考えることがあるようです。
介護保険制度施行の2000年より前は、介護施設では多床室型の採用が一般的でした。
しかし部屋を複数人が利用するため、ベッドや仕切り用カーテンで仕切った一部をプライベート空間とするため、完全にプライバシーが守られるわけではありません。
特に排泄介助において、紙オムツなどを使用している方などは臭いや音が気になることもあるでしょう。
すべてを隠すことができないため、プライバシー配慮に欠けることが多床室型のデメリットといえます。