介護保険料や高齢者に占める要介護認定率は、地域格差があるといわれています。
介護保険の保険料は、市町村ごとで介護サービスでかかる総費用と、65歳以上の方の人口をもとに計算しているからです。
住んでいる場所によって保険料が異なったり要介護認定率が変わったりということに、不公平さを感じることは少なくありません。
そこで、介護の地域格差について、保険料や要介護認定率に差が出る理由を紹介していきます。
介護保険料は、市区町村ごとに3年に1度改定されます。
全国の最新状況を見ると、最も高い「大阪市」の基準額は月額「9249円」で、最も低い自治体と比較すると月額6000円近い格差が出ています。(2024年6月現在)
介護保険料は、市町村ごとの高齢化率や所得状況で異なりますが、具体的には本人と世帯員の前年所得と住民税課税状況で決まります。
地域により、高齢者人口や介護サービスの利用人数、必要とされるサービスには違いがあるため、自治体ごとで求められる介護サービスが提供できるような仕組みになっているといえます。
なお、保険料率については、本人の合計所得金額や世帯員の方の特別区民税課税状況に応じて変わります。
都道府県によって、要介護や要支援の認定を受けている数の構成割合には差があります。
これは、コンピュータによる一次判定を市町村が99%独自基準で変えているからです。
変更の基準は明文化されていないことや、一次判定後に二次判定を担当する介護認定審査会も非公開としており、基準が明確でないことが問題といえるでしょう。
2019年度の「介護保険事業状況報告」と「社会・人口統計体系」から見た場合の、市区町村における高齢者1人あたりの年間介護費の地域差を確認したところ、1460の自治体で高齢者1人あたり年間介護費は約13万円~55万円となっています。
最小値と最大値の差は4.1倍で、自治体によって年齢や性別の分布を統計学的に調整しても、やはり3.6倍の地域差が見られました。
地域格差の要因は、自治体における要介護認定率と重度要介護者の割合の高さの説明率が高いことです。
介護費の高い自治体は、介護予防対策などを行って要介護認定率や重度要介護者の割合を改善するなど、介護費用の負担を軽減させるための対策が必要と考えられるでしょう。