経営管理の手法として耳にすることのあるサプライチェーンという言葉。
生産から販売に至るまでの一連の流れを示しますが、福祉事業においてはバリューチェーンに注目しましょう。
バリューチェーンとは業務の一連の流れを価値の連鎖としてとらえることで、業務効率化へつなげる経営手法です。
福祉事業では、販売機能に始まり、ケアプラン作成からサービス調整・提供、そして介護報酬請求など一連の流れがあります。
一般事業同様のバリューチェーンの考え方を取り入れるときには、事務手続の効率化やコスト削減が実現できるでしょう。
そこで、サプライチェーンとバリューチェーン、それぞれの違いなどを解説します。
「サプライチェーン」とは、原材料を調達し、その後、生産・加工・流通・販売までの一連の流れです。
「供給連鎖」とも呼ばれており、自社以外にも協力会社などの他社をまたいで、モノの流れを捉えます。
たとえばメーカーが部品や材料を仕入れて製品を造り、配送業者・卸業者・小売業者が販売するまでの流れがサプライチェーンです。
「バリューチェーン」とは、価値連鎖のことで、企業の事業活動の価値を創造するための一連の流れです。
競合他社との差別化戦略などによる概念であり、企業活動で行う業務はいずれも価値を創出していると考え、別の価値と複雑に絡み合いながら連鎖すると捉えます。
たとえば商品企画・開発から部品の調達、さらに生産を経てマーケティングと販売を行うといった流れであり、これらを部門または全体の視点で見直しながら情報共有化とプロセスの抜本的改革を実施します。
それにより、全体が最適化されることを目標とした取り組みです。
「ケアデリバリーバリューチェーン」とは、医療や介護の分野で、患者への医療提供プロセスを向上させることや、修正に役立つ価値連鎖のことです。
バリューチェーンでは、事業を工程ごとに分けてそれぞれの生み出す価値を分析し、競争優位性強化や業務効率化を図ります。
介護サービスを提供する上でも、発症から入院、リハビリを経て退院するまでの流れを円滑にすることで、早期に在宅や社会へ復帰することを目標とします。
関係者同士の結びつきを最適化することで競争優位性が高まり、ケアデリバリーバリューチェーンと考えることができるでしょう。