介護サービスは、地域によって利用しやすい場合もあれば、そうでないケースもあります。
介護格差問題は、介護保険制度における介護サービスの利用において、自己負担割合などに格差が生じることです。
平等でなければならない制度でありながら、地域によって差や不公平感が生じることは問題といえます。
そこで、介護保険の地域格差について、不公平感が生まれる要因を簡単に紹介します。
介護保険制度によるサービスを利用したくても、ケアの提供は市町村次第です。
実際に、介護保険サービスを提供するのは地方自治体であり、地域にケアが行き届いていない問題は主に市町村運営によるところが大きいといえます。
介護保険料では、3年に一度、全国の自治体と広域連合が見直しを行います。
地方自治体は総費用の半分を税金、残り半分は保険料から集めます。
介護保険料の計算は、自治体の介護サービス費用を、自治体に住む高齢者数で割って算出します。
自治体が介護施設に資金をかけ過ぎていると、介護保険料が割高になる傾向も見られます。
介護保険料の基準で介護サービスの質が変わるわけではないものの、地域によって介護保険の予算や運用は異なることは理解しておきましょう。
介護保険の地域差による弊害として、介護難民が増えることが挙げられます。
介護難民とは、特別養護老人ホームへの入居を希望するのにもかかわらず、空きがないためサービスを利用できない状態の人です。
介護難民は都市部で増加傾向にあり、高齢者人口が多く地価も高いために、土地確保が難しくなっていることが関係します。
介護難民対策として、介護を理由に移住する介護移住が挙げられます。
近隣に入居可能な施設がない場合、施設と職員のどちらにも余裕があり、提供にかかる費用も安い地方への移住も有効です。
介護保険では、高齢者が住み慣れた地域でサービス提供を受けることを目指しています。
都市部で一人暮らしする高齢者は、故郷に戻り介護施設で暮らす選択もあるといえます。
介護保険では、利用者の住民票のある市町村から、高齢者へサービスが給付されます。
ただし介護施設の多い地方自治体へ高齢者が集中すると、地域の負担が重くなるため、介護保険料やサービス提供に格差が出てしまうことは避けられません。