朝日新聞社の行った「人手不足社会」をテーマとする全国世論調査で、「介護」に関する質問では、将来十分な介護を受けられない心配を感じる人が9割近くいました。
現場の人手不足を解消する方法として、介護職の給与を大幅アップすることが半数以上を占めていたようです。
そこで、世論調査による人々の介護への不安について、医療・福祉への意識調査の結果を紹介します。
内閣府が18歳以上の3千人を対象に、2024年10月から11月までに実施した、社会意識に関する世論調査によると、医療や福祉が良い方向に向かっているとした方の割合は3割程度でした。
これは、その他を含む25の分野の中で最も高い結果だったといえます。
その一方で、医療・福祉が悪い方向へ向かっていると回答した方は、全体の2割弱であり、13番目に高かったようです。
実は、良い方向に向かっている分野に、医療・福祉がトップで選ばれたのは、2021年12月の調査から4回連続でした。
なお、医療・福祉を挙げた人の年代別の割合を見ると、70歳以上が3割以上を占めており、都市規模別では町村が3割弱で最も多かったようです。
日本が今後、さらなる超高齢社会に突入すれば、さらに介護現場の人材不足などは深刻化します。
少子高齢化が深刻化する日本で、医療や介護などの社会保障への心配の声も多く、世論調査の結果とは異なる不安を抱える方も多いといえます。
元気な高齢者は増えているものの、実際には加齢による免疫力低下などで、人口全体で見たときの疾患リスクは高まります。
超高齢社会の進行は医療・介護の需要の高まりを加速させることであるのに対し、少子高齢化で労働力は減少し、将来的に医師・看護師・介護従事者が減ることは避けられません。
それに加え、高齢者増加で医療の患者数が増えれば、医療費増加も避けることはできないでしょう。
高齢者の医療費自己負担額は原則1割に設定されていますが、残りは社会保障費で補われています。
社会保障費の財源は税金であり、医療費は今後も増える一方であるのに、労働人口の減少で徴収できる税金が減れば、社会保障費の確保は難しくなります。
社会保険と同様に、需要と供給のバランスが崩壊する恐れがあるため、適切なバランスを保つための取り組みが医療・介護の業界に求められています。