介護施設の利用を希望する高齢者は増加していることからも、介護業界は、景気に左右されることなく不況にも強いといったイメージが定着しているようです。
一般的に景気に左右されることのない、不況の際にも強い産業とは、人々の生活に深く関係することとなる産業や、生命にかかわる産業、公共性の高い産業などがあげられます。
暮らしに深く関わる産業として挙げられるのは、食品業界や不動産業界、通信業界などそのサービスがなければ多くの方が困惑してしまうこととなる産業です。
そして生命にかかわる産業とは病院や保険会社などであり、公共性の高い産業は学校や福祉サービス事業所など政府の施策と密接に関係している業種といえます。
では介護施設など、介護業界はどうなのでしょう。
介護施設を利用する方たちは、施設がなくなれば暮らしが立ち行かなくなってしまいます。家族の介護負担は増すでしょうし、家族のいない方は行き場を失ってしまうことになります。
そして高齢社会対策は国が推進する共生社会政策の一部であり、介護保険サービスを提供する介護事業者は自治体からサービス利用料の一部を受け取ることで収入基盤を確立しています。
以上のことから、介護業界も不況に強い産業としての要素を兼ね備えており、運営される介護施設は将来性のある事業であるといえます。
しかし不況に強いはずの介護施設が、次々と廃業に追い込まれているのも事実です。
高齢化により需要は拡大しているはずであり、介護サービス利用者が尽きることも今後ないと考えられます。
しかし、介護現場で利用者にケアを行う介護スタッフが足りていません。いくら介護施設を開設し、これから充実したサービスを提供しようと考えても、肝心の介護スタッフが確保できなければ質の高いサービスを提供することは難しくなります。
高齢者が安心して生活できる街づくりのためにも、介護分野で活躍する介護福祉士やケアマネージャー、生活相談員など、専門的な知識や技術を持ったスタッフが今後増えていくことが必要です。
介護業界で働くスタッフの数は、高齢化社会の進展に伴って増えていくことが望ましいのに対し、現在も労働力は十分とはいえない状況が続いています。
深刻な人材不足をどのように解消するのか、景気に左右されない業界だからこそ考えていかなければならないでしょう。