介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

イギリスで介護施設に入所するために必要なこととは?

2020.07.22
分類:その他

日本だけでなく、世界の介護施設や介護サービスはどのような状況なのか、どんな風に提供されているのか気になるところです。

そこで、イギリスは高齢者にどのように介護サービスを提供しているのか紹介しますので、日本との違いを確認してみましょう。

介護サービスを提供するのは国?民間?

イギリスでは、中央政府のうち保健省が国民保健サービス(NHS)の一部として介護サービスを提供しています。ただこれだけではなく、国や地方自治体が福祉・社会サービスとして提供するもののあれば、利用者が自己負担して利用するものもあります。

たとえば国民保健サービス(NHS)の介護サービスは税財源で賄われるため、利用者は負担なく利用することができます。医療や看護ケアはプライマリ・ケア・トラスト(PCT)が主体となっており、地方自治体と連携して必要性に応じた訪問介護やヘルスケアがサービスとして提供される形です。

それに対し地方自治体が提供している介護サービスの場合、その財源となるのは地域の人口特性などに合わせて支払われる政府補助金など一般税などがメインですが、一部は利用者の自己負担や地方税などでまかなわれているようです。

自治体がサービスを購入する形式

イギリスではそれぞれの自治体がサービス提供者から対象となるサービスを購入することになっていることが特徴です。

どのサービスを購入するかは地域のニーズによりますが、供給が効率的にできそうな提供者と契約が結ばれます。サービスを購入した自治体は、サービスの提供状況などを確認しながら、次の購入や提供プロセスなどに活かす形がとられているのです。

サービスの質を維持・向上させることに力を入れる必要が出てきているため、評価制度や基準策定などにも取り組みを行い始めているところとされています。

介護ケアの質や管理を向上させるための法律なども定められ、保健省が社会ケア監査委員会を設置し、全国で一律の最低基準を設定しながら監査を行うという流れです。

 

介護施設も利用しにくく在宅ケアにシフトできない状況

イギリスは他の国よりも介護施設や公的な在宅ケアを利用する割合が低いですが、これは介護給付対象が重度の要介護者に絞られていることが関係しています。

在宅ケアを利用する世帯は減少傾向にあるのに、サービス利用の総時間数は増加しているのは、サービス受給者が重度化していることも影響しているのでしょう。

民間事業者が提供するサービス受給は増えており、これは自治体の判定で軽度の要介護者が対象から外されているとも考えられます。

介護施設でのケアではなく在宅ケアにシフトする動きは進んでいるけれど、自治体によって受給資格や費用負担など格差が大きいため誰でも気軽に利用できない点が問題視されています。

高齢者を介護するための費用補助は、所得と財産保有の状況などにより判定されるため、費用を捻出するためには家を売らなければならなくなるといったことも出てきている状況です。