介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

香港の介護製品や介護施設など介護サービス提供の現状

2020.10.14
分類:その他

日本は高齢化が進んでいますが、これは日本だけに限らず世界でも同様です。香港でも高齢化に対応した社会構築が課題として挙げられていますが、質の高い介護製品や介護施設などでの介護サービスを求めるニーズは高まっています。

そのニーズに対応するため、香港政府では2018年に10億香港ドルを拠出し、高齢者・リハビリ技術革新応用基金を設立しました。他にも高齢化に対応するため、関連する社会問題について総合的に支援しています。

高齢者の中でさらに高齢化が進んでいる

20183月に香港政府が発表した「2016年中期人口統計」によれば、2016年の香港の65歳以上の高齢者人口は2006年の約85万人から36.4%増え約116万人とされていました。

総人口が約730万人なので、高齢者割合は15.9%となり、世界でも有数の高齢化社会といえ現在もその割合は加速傾向にあります。

さらに80歳以上の高齢者比率は2016年時点では29.3%となっており、高齢者の高齢化も進んでいることが特徴です。

国連も2020年の潜在扶養率(65歳以上の人口に対する1564歳の現役世代の人口比率)を公表していますが、それによれば現役世代約4人が高齢者1人を支えていることも確認されています。

 

香港の高齢者の生活スタイル

香港で生活する高齢者は、介護施設に入居せず自宅で暮らす方がほとんどです。しかし子と同居している割合は減少傾向にあり、単身や配偶者と同居という割合が増えています。介護施設や病院で暮らしている高齢者は1割にも満たない割合です。

それではこれからの高齢化に対応できないと、香港政府は高齢者向け施設を増設することに加え、高齢者向けサービスの拡充、被介護者の生活改善に介護者の負担軽減のための財政支援を強化しています。

すでに2019年度・2020年度には老人ホームを19か所、建設開始しています。それにより、2020年度・2021年度に政府補助対象の民間老人ホームの収容人数は1,797人増加することが見込まれているようです。

加えて2020年度・2021年度には高齢者サービス改善策として、コミュニティサービス提供が拡充されることが予定されています。

 

基金で支援対象となる機器の要件

香港政府が創設した「高齢者・リハビリ技術革新応用基金」では、老人ホームや介護施設の介護福祉用具機器のレンタル・購入を支援しており、サービス利用者の生活の質を向上させ、さらに介護者の負担軽減を目的としています。

支援対象となる機器として、

・高齢者または肢体不自由者の回復に役立つこと

・転倒や転落、道に迷うといった生活リスク減少に役立つこと

・介護者の負担やストレスを軽減させること

・イノベーション関連製品であること

・福祉サービスを支援する「奨券基金」の支援対象外であり、申請者の施設で製品を利用できること

という要件のうち、いずれかを満たすことが必要とされています。

基金は政府補助対象施設以外にも民間施設も申請できるようになっているようです。