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介護施設の社会保障給付費はGDPに対してどのような比率となる?その影響とは?

2020.10.16
分類:その他

社会保障給付費を経済成長率年2%前後という基本ケースで考えると、2040年度には190兆円になると推計されています。

社会保障給付費は、人々から徴収する税金や保険料で賄うこととなりますが、医療の現場や介護施設などにとって重要なものです。

特に介護については、日本の高齢化に伴い高齢者数増加によっての約26兆円にまで膨らむと推計されており、国内総生産(GDP)に対する比率は24%となると考えられています。

2040年度は3人に1人が高齢者に

これまで社会保障給付費の推計は、主にベビーブーム世代である団塊の世代が75歳以上(後期高齢者)になる2025年度が主な対象でした。

しかしそのさらに先である2040年度には、人口のうち65歳以上の方が4千万人近くにまでなる時期で、3人に1人が65歳以上になると予想されています。

これに対し高齢者を支える1564歳までの生産年齢人口は減少傾向にあり、社会保障制度を支える就業者数も減少すると考えらます。

 

介護給付の負担が増大

高齢者の数が増えるということは、介護給付も大きくなると考えられます。

介護サービスを必要とする方の割合も上昇していき、2040年頃には介護需要の高い85歳以上の人口は現在の2倍以上になるとも予想されているのです。

しかしこの推計は、賃金や物価上昇率の平均に対し0.7%上乗せされた伸び率によって考えられたものです。

現行の介護制度なども、在宅サービスの計画作成は無料とするなど給付を抑制させる仕組みが不十分と考えれば、推計による数字は膨らみやすくなります。

そして医療の技術は日々進み、今後も革新していくことが予想されます。仮に再生医療などの保険適用範囲が拡大すれば、さらに給付は膨らむこととなるでしょう。

どちらにしても制度を支える現役世代の負担は増加することとなり、2040年度で必要と考えられる保険料は全体で今の約1.5倍、約107兆円が必要となります。

 

今後は幅広い見直しが必要に

今回の推計は、経済成長や賃金増加などが一定にあった場合が前提とされており、2040年度のGDP790兆円になるというものです。

しかしこれまで増加したGDPに対し、社会保障給付の比率も上昇したという結果も見られていますので安心できません。

高齢者が医療や介護サービスを利用するときの自己負担割合を引き上げることも必要となるでしょうし、高齢者たちを支える介護施設などの環境を国が支援・後押しするなど、今後は給付する側と負担する側の状況を幅広く見直さなければならないといえるでしょう。