介護施設に入所し、生活を続けている利用者の中には、ふるさとを懐かしく思い帰りたいと口にする方もいることでしょう。
介護スタッフに対し、「家に帰りたい」と訴える利用者の帰宅願望があらわれるのは認知症のBPSD(心理・行動症状)の1つでもあります。
これは介護施設に入所している方だけでなく、家にいるときにも訴えることもあり、実際に家を出て行ってしまうといった場合もあるようです。
認知症の方の帰宅願望があらわれる理由は人それぞれですが、不安や孤独感、落ち着かないといった焦りなどが関係しています。
ふるさとに帰りたいという気持ちを起こさないよう、安心できる現状を与えてあげることが解決につながると考えられます。
認知症の方は、なぜ自分が今その場所にいるのかわからず、不安やストレスを感じることもあります。
自分が置かれている状況が認識できない状況で、慣れない場所で過ごさなければならないのなら落ち着かずに帰りたくなるものでしょう。
仮にいつも過ごしている場所だとしても、家具の配置やカーテンの色を変えるなど、ちょっとした状況の変化がいつもの場所と認識できなくなってしまうこともあります。
他にも心理的にストレスと感じるできごとや体験などで、安心できる環境と感じられなくなり、帰宅願望があらわれることもあるようです。
では利用者に「帰りたい」といわれたとき、介護スタッフとしてどのように対処するべきなのでしょうか。
まずは利用者の気持ちを受け止め、興味を逸らすことを意識しましょう。帰りたいと感じている気持ちを否定するのではなく、共感した上で興味があることに話を変えていくと気持ちが切り替わることもあります。
そしてなぜ帰りたいと感じているのか、その理由を探ってみましょう。
利用者の話を聞き、何に不安を感じているのか理由を確認し、帰らなくても問題ないことを伝え不安を解消していきます。
介護施設などに入所している状況では、特に慣れない間は帰宅願望が強くあらわれることもあります。
嘘をついたり曖昧な返事をしたり、気持ちを無視することは避け、利用者が抱える不安や恐怖を解消させる方法を探っていくことが必要です。
居心地が悪いために帰りたいと訴えることも少なくありませんので、安心してもらえるような居心地の良い空間づくりを行うことを考えていきましょう。
利用者本人が居場所だと感じることができるように、定位置を作るといったことも方法の1つです。
そして居心地の良さは物理的なこととは限らないため、介護施設や介護スタッフに自分が受け入れてもらえていると感じてもらい、安心してもらうことも必要といえます。