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介護事業者が選ぶべき法人格は?合資会社でも運営は可能か

2021.08.23
分類:その他

介護事業者が法人として介護施設など運営する場合、どの法人格がよいか迷うこともあるでしょう。

株式会社・合同会社・合資会社・合名会社など種類があるため、もっとも馴染みのある株式会社を選んでしまいがちですが、他の法人格についても知った上で決めたいところです。

そこで、それぞれの法人格にはどのような特徴があるのか知るために、あまり一般的に馴染みがないとされる合資会社についてご説明します。

合資会社とは?

法人格には、株式会社・合資会社・合同会社・合名会社などがあるものの、合資会社は新規で法人を立ち上げるときに使われることが少ない法人格です。

なぜならこの4つの法人格のうち、唯一、合資会社だけが2名以上の社員がいなければ設立できないからです。

合資会社の代表者は有限責任社員と無限責任社員が1名ずつ必要となりますが、有限責任とは仮に会社が倒産して負債を抱えたときには出資した範囲を上限に責任を負うことになります。

無限責任になるとさらに責任が大きくなり、会社が倒産し負債を抱えれば負債総額すべてを債権者に返済しなければならない責任が発生します。

無限に責任を負うことで無限責任社員という名称が使われていますが、株式会社と合同会社は有限責任社員のみ、合名会社は無限責任社員のみ1名ずついれば会社を設立できます。

 

合資会社はリスクが高い?

仮に立ち上げた会社が倒産したとき、無限責任社員が負うリスクは大きいと考えれば、合資会社にメリットはないと思ってしまいがちです。

しかし合資会社は、資本金を現金で準備しなくてもよい現物出資が認められており、会社設立に際して資金を調達する必要がありません。

また、株式会社を設立するときほど費用もかからず、手続きも比較的容易に進めることができるため、手間や費用を抑えて会社を設立したいときにはメリットがあります。

さらに株式会社のように決算公告義務がないこともメリットとして挙げられますが、これまで挙げたメリットは合同会社でも得ることが可能なため、合同会社と比較すると合資会社特有のメリットはないといえます。

 

介護事業者が選ぶとよい法人格は?

合同会社はアメリカのLLCをモデルとしており、合資会社と異なり有限責任社員だけで構成されます。

そのため万一倒産した場合でも、出資額以上の責任を負うことがありません。

介護事業者の今後のリスクを考慮して法人格を選ぶとすると、やはり合資会社はその責任の重さや社会的な知名度の低さなどであまりメリットがあるとはいえず、他の法人格を選んだほうが良いと考えられるでしょう。