介護事業者の中には、公益社団法人という名称が使われていることは知っていても、実際にどのようなことを行う法人なのかよくわからないこともあるでしょう。
たとえば日本介護福祉士会・介護労働安定センター・日本介護福祉士養成施設協会・全国優良老人ホーム協会など、介護事業者にとっても耳にしたことのある団体や協会の母体は公益社団法人となっています。
そこで、公益社団法人とはどのような法人なのか、その仕組みや事業の内容についてご説明します。
公益社団法人とはその名称どおり、公益な事業を行うことを目的として活動する法人のことです。
不特定かつ多数の者の利益を目的にするため、法人だけの利益を追求するのではなく、社会的によい影響を与えるために運営されます。
営利目的ではない法人のため、税制上の優遇措置や社会的な信頼性など様々なメリットがある反面、誰でも簡単に立ち上げることはできません。
公益社団法人を設立するには、まず一般社団法人を設立し、内閣総理大臣または都道府県知事の認定を受けることが必要です。
行政庁に公益認定を申請し、認定するかの基準や公益社団法人を名乗るにふさわしいか判断された上で、認定の可否が決まります。
公益社団法人の「社団法人」は、団体が法人格を取得したときに名乗る組織名であり、非営利団体であることを示します。
利益を得ても事業活動や事業継続、蓄えにだけ使うことが可能となっています。
株式会社などであれば営利目的で運営されるため、利益の余剰金は理事や従業員など構成員に分配されますが、公益社団法人では分配はできません。
公益社団法人は、医療学会・資格認定機関・教会やサークルなど営利を目的にしない団体を法人化するときに設立されることがほとんどです。
設立可能となる公益事業は、法律に定めで23種類の事業だけとされており、
・障がい者もしくは生活困窮者または事故・災害もしくは犯罪による被害者の支援を目的とする事業
・高齢者の福祉の増進を目的とする事業
も含まれています。
公益社団法人を名乗るには、内閣総理大臣または都道府県から認定を受けることが必要です。
その条件として、
・公益目的事業を行うことが主たる目的であること
・公益目的事業の収入がその実施に必要な適正費用を超えていないこと
・公益目的事業の比率が50/100以上の見込みがあること
・有休財産の額が一定以上にならないこと
・同一親族等が理事または監事の1/3以下であること
などが挙げられます。