介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

介護事業者が利用者に退去命令を出すのはどのようなケース?

2021.12.06
分類:その他

老人ホームに入居中の方には長く住み続けてほしいと、どの介護事業者も考えるものでしょう。

しかし中には、どうしても退去命令を出さなければならないときもありますが、いったいどのようなときなのかご説明します。

退去命令を出すケースは事前に明示している

そもそも老人ホームは終身契約ではないため、入居した後で身体状態などが変わったことを理由に、途中退去が必要になることもあります。

事前に契約書や重要事項説明書などに、退去要件としてどのような場合に退去が必要になるか明示していることでしょう。

退去要件は入居者に不利になる内容で決めることはできませんが、入居者に問題があるときには要件に該当すると判断され、介護事業者が退去命令を出すことも可能です。

 

老人ホームを退去してもらわなければならないときとは

老人ホーム入居者が退去するケースは、次の3つに分けることができます。

・老人ホームが規定している退去要件に該当したとき

・入居者本人や家族が退去を希望したとき

・介護事業所が倒産するなどホーム側の運営に問題があったとき

事業主体である法人が倒産した場合や、業務縮小、経営譲渡といった理由により、入居者に退去してもらわなければならなくなる場合もあります。

その場合、預かっている入居一時金に未償却分があれば、入居者に返還しなければなりませんので注意してください。

 

介護事業者が規定する退去要件

介護事業者によって異なるものの、老人ホームが退去要件とする項目は主に次の4つです。

他の入居者に対する迷惑行為があったとき

たとえば他の入居者や職員に対し危害を及ぼす行為があったときや、そのリスクが非常に高く通常の介護方法で防ぐことができないときには退去してもらうことになります。

暴力・暴言・大声で奇声を発するといった行為も該当することになるでしょう。

認知症などが原因の場合もあれば、入居者本人の性格上に問題があるとき、生活環境ががらりと変わったことでストレスを抱えていることなどで起きることもあります。

各種費用の支払いができなくなったとき

入居した後に経済状態が変わったため、毎月の利用料金など支払いができなくなった場合、本人が負担できない分を連帯保証人や身元引受人へ請求をします。

しかしそれでも支払いができないという場合には、退去してもらうことが必要となるでしょう。

医療行為が必要になったものの施設では対応できないとき

提携先の病院が老人ホームの近くにあった場合でも、ホーム内で高度な医療対応が可能とは限りません。

そのため重度の身体状態となり、医療依存度が高くなった場合には、退去してもらうことが必要となります。

どのくらいの医療依存度であれば入居し続けることが可能か、事前に示しておくことも必要です。

入居者が長期入院したとき

一般的に3か月以上、居室を空けて医療機関に入院したままになると、復帰は困難と判断され退去してもらうことになります。