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介護事業者の基礎知識|利用者の高い食費や居住費に対応する介護保険負担限度額認定証とは

2021.12.09
分類:その他

20218月から介護保険負担限度額認定の内容が変更されるため、介護事業者も施設利用者が高い食費や居住費で悩んでいるときには、説明できるように内容を把握しておきましょう。

そこで、介護保険負担限度額認定証とは何のために必要なのか、変更点やその内容についてご説明します。

介護保険負担限度額認定証とは?

利用者が介護保険サービスを使うときには、そのサービスの内容により食費や居住費がかかることがあります。

過去には食費や居住費も保険適用の対象でしたが、現在では給付の対象から外れているため、利用者が自己負担しなければなりません。

しかし利用者の中にも限られた年金収入や預貯金などでサービスを利用している方もいるため、食費や居住費が大きいと悩むケースもあるでしょう。

そこで、一定条件を満たす利用者については、食費や居住費などを減額することを認めるため、その証明として発行されるのが介護保険負担限度額認定証です。

本来であれば所得が低い利用者に強い味方だった介護保険負担限度額認定証ですが、20218月からはその内容が変更されることとなり、波紋を呼んでいます。

 

介護保険負担限度額認定証の変更点

20218月からは内容が変更されることになった介護保険負担限度額認定証ですが、主に次のような項目が変わります。

負担段階2および3の認定者の食費が高くなる

介護保険負担限度額認定証は3段階に分けられています。

たとえば負担段階2の認定者は1日あたり390円、負担段階3の認定者は1日あたり650円、食費の負担が必要です。

しかし20218月からは、負担段階2の認定者が負担する1日あたりの食費は600円となり、210円の負担が増えます。

そして負担段階3は現行より細分化されることとなり、区分により1日の負担額が1,000円または1,300円に変わるため、従来よりも350650円負担が増えてしまいます。

介護保険負担限度額認定証を所持していても食費の負担は避けられないため、介護サービスの利用について今後、検討が必要になる方も出てくると考えられます。

認定条件の預貯金額は引き下げに

介護保険負担限度額認定証を発行してもらうためには、預貯金の金額が一定以下でなりません。

その基準は、本人の預貯金など1,000万円以下、配偶者と本人の預貯金であれば2,000万円以下であることが必要です。

この預貯金の基準は負担段階に関係なく一定金額でしたが、20218月からは負担段階により変わります。

まず負担段階2の認定を受けるためには、預貯金などが650万円以下であることが必要となります。

2区分に細分化される負担段階3の場合は、負担段階3(1)(年間収入80万円以上120万円未満)が550万円以下、負担段階3(2)(市県民税の非課税者)は500万円以下でなければなりません。

そして配偶者がいるときには、配偶者の預貯金も1,000万円以下でなければなりませんが、全体で見れば従来よりも基準は下がると考えられます。