地方では子が親元を離れ、都会へと進学や就職に出るケースが増え、親は地方の田舎で生活を続けることが多くなっています。
しかしそれでは都市部に若者が集中することになり、地方の田舎には高齢者だけが生活するといった過疎化を進めることになるでしょう。
自宅で介護を行う場合、高齢者が高齢者を介護しなければならない老老介護も当たり前になるなど、介護事業者にとっても地方の過疎化は注目しなければならない問題といえます。
若者が都市部に集中すれば、地方の人口は減少してしまいます。
これまで賑わっていた商業施設は撤退しなければならなくなり仕事場も少なくなるため、若い世代はますます仕事や利便性の高い場所を希望するようになり、都心部などに移り住むことを希望するようになります。
地方の過疎化が進んでいけば、高齢化率も50%を超えるなど、住民の2人に1人は高齢者という状況を作ります。
問題が起きたとき、介護する側もされる側も高齢者では、対応しきれなかったり対応に遅れがでたりといった問題も起きてしまうでしょう。
地方の過疎化が進めば、地域の行政サービスも悪化してしまいます。
税収が低下するため、医療や公的事業に対する予算も削られることとなり、必要な公共事業を行うことが難しくなるからです。
そして選べる介護サービスの種類や量が足らなくなり、競争原理が働かず同一事業所に利用者が集中しがちとなり、サービスの拡大や質の向上は期待しにくくなります。
そもそも若い世代が少ない中で、介護現場で働く介護スタッフも確保しにくくなってしまうでしょう。
地方だけでなく、全国的に見ても介護スタッフの需要は年々高まっています。
そのため国も介護業界に対して取り組みを行っていますが、たとえば次のようなことが挙げられます。
・外国人労働者を導入する
・介護職員処遇改善金の加算
・再就職準備金貸付制度の設置
・介護記録のペーパーレス化や外部ITサービス導入など雑務負担の削減
このような取り組みにより、介護現場の環境が改善されるようになれば、介護現場で働くスタッフも確保しやすくなるでしょう。
地方に限らず介護スタッフの不足は業界全体の問題となっているため、今後、介護現場が働きやすい職場として認識されるようになれば、入職希望者も増えスタッフを確保しやすくなると考えられます。