日本では高齢化社会が進んでおり、2025年問題や2035年問題といわれるように、社会的な問題として提起されています。
少子化による労働人口減少に対し、介護従事者のニーズは高まり続けているなど、介護業界の人手不足は今後ますます深刻なものとなるでしょう。
人手不足が続けば、介護サービスの質は低下し、労働環境も悪化しさらに人材の離職率を上げ、結果的に介護事業所の経営状態を悪化させることになります。
日本では、ライフスタイルの変化や女性の社会進出が進んでいることで、出生数が減少傾向にあります。
出生数は2000年時点で119万人でしたが、2019年になると90万人まで減少しました。
それにより、生産年齢といわれる15〜64歳の人口も、1995年は8,716万人だったのが2020年に7406万人まで減っています。
今後、生産年齢は、2030年になると6,875万人、2060年には4,793万人まで減少すると予想されています。
少子化だけでなく高齢化が進んでいることで、介護業界のニーズは高まりつつある中、生産年齢人口は減少し、需要と供給が追い付かないと考えられています。
内閣府が公表している「令和2年版 高齢社会白書」には、65歳以上の高齢者の割合は28.4%で、75歳以上の割合は14.7%と記載があります。
65歳以上の高齢者の割合だけ見れば、
平成30年 27.7%
令和元年 28.1%
令和2年 28.4%
というように、だんだんと割合が大きくなっています。
2025年には国民の4人に1人が75歳以上になるといわれていますが、もう目の前までその時期が迫っているため、少子化と高齢化に対する問題解決が急務といえます。
少子高齢化問題で、介護業界では他業界よりもいっそう人材不足が加速することとなるでしょう。
介護事業所の人材不足の多くは、採用が困難な状況だからです。
同業他社との人材獲得競争が厳しいことや、他産業と比較すると労働条件など魅力がないといったことも関係します。
さらに他業界に人気が集中し、肉体労働の多い介護業界には人材が集まらないことで、より介護現場の人材不足を深刻化させています。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、職を失った方が介護業界への転職を希望する例も増えていますが、その限られた人材の取り合いが激化しているため、現場の人手不足解消につながらないと感じている介護事業者も少なくない状況です。