人材確保が急務となっている福祉業界の中でも介護施設の現状
日本は高齢化社会の一途をたどっており、2065年には約2.6人に1人が65歳以上となり、約3.9人に1人は75歳以上になると言われています。
しかし福祉業界は人材ニーズが高まる中でも不足が続き、人材確保の問題が深刻化している状況です。
人材確保を必要とする介護施設はどのくらいある?
福祉業界のうち介護施設で人手が不足していると感じている事業所はどのくらいあるのでしょう。
介護労働安定センターが2019年8月に公表した「平成30年度 介護労働実態調査」の結果を確認すると、9,102事業所の67.2%が人手不足と感じているようです。
状況は悪化していますが、どのように人材確保の問題を解決させていけばよいのかが問題となっています。
限られた人材を取り合っている状況に
人材不足は介護業界だけにとどまる話ではなく、どの業界でも同じです。
人口自体が減少傾向にあるため、限られた若い働き手などを取り合う形となっているため、人気のない介護業界まで働き手がまわってこなくなっています。
この状況を打開するためには、何らかの対策が急務となっているといえるでしょう。
国が行っている取り組みもある
国も人材確保を急務とする介護業界の状況を打開するため、介護報酬改定では「介護職員処遇改善加算」という新たな制度を設けています。
この介護職員処遇改善加算では、介護施設で働く方がキャリアアップできる仕組みを構築した場合や、職場環境改善などに取り組む事業所に対し、介護報酬を加算するというものです。
要件の見直しや加算額を上乗せするなど、より充実した制度となるように対策を実施しながら今に至りますが、まだ人材確保や定着のための賃金支払いに足りていないのが現状といえるでしょう。
2019年10月に消費税率が引き上げとなったことで、「介護職員等特定処遇改善加算」も創設され、経験や技能のある介護職員の処遇がさらに改善されることを目指しています。
勤続年数10年以上の介護福祉士などリーダー級の介護職員に対し、月額平均8万円相当の処遇改善がされれば、優秀で経験豊富な人材にも他業種に劣ることなく賃金を支払うことができるという内容です。
介護事業者が活用できる助成金
他にも介護事業者が活用できる助成金制度などもあり、たとえば次のような支援策が設けられています。
・人材確保や開発支援のための助成金制度(キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金など)
・介護福祉機器導入のための助成金制度(人材確保等支援助成金 介護福祉機器助成コース)
他にも福祉人材センターや福祉人材バンク、介護労働安定センターなどの人材支援や職場作り支援もありますのでうまく活用しましょう。