福祉業界のうち介護分野でIT化を進めていくメリット・デメリットとは

少子高齢化が深刻化する中、福祉業界の人材も限られており、質の高いサービスを提供するためにはIT導入なども検討が必要です。
特に介護業界では解決策の1つとしてIT導入が注目されていますが、それによるメリットやデメリットについて解説していきます。
介護のIT化が進む背景
介護分野でIT化が進むその背景には、時代背景や社会的な問題が関係しますが、大きな問題として挙げられるのが人材不足です。
少子高齢化が深刻化し、介護を必要とする方は増える反面で、介護現場で働く人材が不足しています。
今後はさらに人材不足の問題が深刻化すると考えられるため、現場のIT化で生産性を高めることが不可欠となっていると考えられます。
実際に介護分野のIT化はどれくらい進んでいるのか
介護事業者の中には、すでに現場のIT化を進めているケースも見られます。
しかし介護サービス提供事業所の9割は従業員数100名以下という規模であり、IT導入にコストをかけることが厳しいケースも少なくありません。
仮に導入したとしても、ITを使いこなすことができる人員がいないなど、介護分野全体でみればまだまだIT導入は進んでいるといえないでしょう。
国も介護現場のIT導入を推進するため、補助金制度など設けて支援する策も講じていますが、現状では十分とはいえません。
介護分野のIT化でどのようなメリットがあるか
介護現場にITを導入することで、主に次のようなメリットがあります。
・介護業務を効率化できる(介護記録や利用者情報の管理が容易になる)
・離職率を低下させ定着率を高めることができる(スタッフの労働負担を大幅に軽減できる)
・業務連携がスムーズになる(利用者のデータを自治体や健康保険組合などと共有しやすくなる)
・データ活用で介護の質向上につなげることができる(介護者の業務負担量や利用者の介護必要度の計測で人手が必要になる時間帯の把握などが可能になる)
また、スタッフ同士の情報伝達の際にもミスを防ぎやすくなり、リスク管理でもメリットがあると考えられます。
いずれのメリットもスタッフの負担を最小限に抑えることや、限られた人員で安全に利用者にサービスを提供することにつながるといえるでしょう。
介護分野のIT化のデメリット
介護現場にIT導入することにはいろいろなメリットがありますが、次のようなデメリットも踏まえた上での検討が必要です。
・IT導入にはコストがかかる
・ITを使いこなせる人員がいなければ意味がない
・個人情報漏洩につながるリスクへの対策も必要
特に介護業務に携わるときの秘密保持義務を守ることができるように、情報漏洩に対する対策が必須となることは留意しておくべきといえます。