新型コロナウイルス感染症の問題で、2年半に渡り水際対策が実施されていました。
日本でも入国者数上限の撤廃や訪日客の個人旅行解禁など水際対策が緩和されたため、今後は海外旅行者が増えることが予想されます。
それにより、建設工事の需要も高まるのではないかといった水際対策緩和後の日本のインバウンドに期待が高まる声もあるようです。
日本は海外の主要国と比べると、水際対策緩和には慎重な姿勢を続けてきました。
そのためすでに世界では海外旅行による入国者数が回復傾向にある中、日本では低迷し続けて経済損失も大きくなったといえます。
2022年7月時点で海外旅行者の入国者数は、コロナ禍前の2019年7月と比べると▲28%でした。
地域別にみると、
・欧州…▲16%
・米国…▲26%
・アジア太平洋…▲75%
・日本…▲95%
となっており、いかに日本が大きく出遅れているか確認できます。
世界の海外旅行の入国者数は2022年7月には回復してきており、2023年2月には、2019年同月の水準を取り戻すことができるでしょうが、コロナ禍前の水準まで取り戻すのに1年10か月かかると計算されます。
同じように日本で当てはめて考えると、水際対策緩和後の日本で海外旅行の入国者数が回復した場合、コロナ禍前の2019年同月の水準まで取り戻せるのは2024年10月と2年先と考えられます。
海外旅行の入国者数を加速させてインバウンド需要拡大を経済成長につなげるのなら、宿泊場所の不足を解消することや供給力を拡大させることが必要です。
日本ではコロナ禍により、海外旅行から国内旅行へとシフトしました。
しかし海外旅行へ再度シフトしなければ、宿泊場所不足により海外旅行者が増えにくくなってしまいます。
新規でホテルを建設するなど、海外旅行者の宿泊場所を拡大させる動きも必要となるでしょう。
政府もインバウンド需要拡大を目指し、政治的な問題で入国者数が一気に減少することのないように、中国や韓国に偏ることなく幅広い国や地域から海外観光客を招き入れる工夫が必要です。
ポストコロナのインバウンド戦略を構築して、世界各国から日本へ海外旅行者を招き入れる対策や工夫を検討することが求められると考えられるでしょう。
インバウンド需要5兆円を目標として掲げていますが、それだけでは十分とは言えない状況です。