
建設工事の見積もりは、工事の費用や内容など、発注者と受注者で共有するための書類です。
そのため、見積もり内容を伝える見積書には、工事にかかる費用の総額以外にも、各工程の内訳や費用の詳細を記載しましょう。
透明性を確保することで、互いの信頼関係を構築できます。
そこで、建設工事業の見積もりについて、必要性や算出方法、注意点を紹介します。
見積もりは、費用の概算を知る上で必要です。
見積書を発行すれば、何にどのくらいの費用がかかるのか情報を共有できるため、受注者と発注者の認識を擦り合わるための役割も担います。
ただし、建設関連の見積もりに関しては、相場が決まっているものそうではないものがあります。
たとえば、建売住宅などの場合、工場で製作した部材を現場で組み立てて家を建てるため、同じ建坪と設備グレードでは価格や納期に大きな変動はありません。
その一方、大型商業ビルなどは、デザインや工法などが個別に決まるため、価格に相場はないといえます。
仮に建坪や設備グレードが同じでも、見積もりの金額は異なることがほとんどです。
建設工事業の見積もりは、以下の計算式で算出できます。
【見積金額=(材料費+人件費)×利益率】
材料費は、工事で使用する材料にかかる費用です。
原則、以下の計算式で算出します。
【材料費=仕入価格×数量】
主資材にかかる費用以外に、副資材にかかる費用や、現場へ届ける運搬費なども含みます。
また、建設で使用する材料は、メーカーから仕入れることになるため、定価に掛け率を掛けた金額となります。
ただし、掛け率は、取引相手や取引条件などで異なるため、一律ではありません。
人件費は、工事に携わる職人に対して支払う賃金や手当であり、作業ごとの手間を正確に反映するために、作業の手間を数値化した歩掛を使います。
歩掛で使う単位が人工(にんく)であり、1人工は作業員1人が8時間で行う作業量を示します。
なお、作業ごとの人工は、以下の計算式で算出できます。
【人工代=(1人×所要作業時間)÷8時間】
建設工事業における見積もりは、必要性を踏まえつつ、単価を都度確認するなどの対応が求められます。
見積書の作成は、定期的な単価の見直しが欠かせません。
社会情勢の変化により、材料費・人件費・歩掛などは変わるからです。
単価の変動で合計金額も変わり、大きな影響を受ける場合もあるため、必要性を踏まえた上で単価の確認が必要といえます。