
建設工事業における人件費とは、従業員に支払う給与・手当・福利厚生費などの費用です。
工事現場で働く職人以外に、営業部門や管理部門、経理や総務などの事務担当者などすべての従業員にかかる経費を指します。
そのため、建設工事業の人件費は、工事原価に含まれる労務費だけでなく、すべての従業員に支払われる費用と理解しておきましょう。
そこで、建設工事業の人件費について、労務費や外注費との違いを簡単に解説します。
人件費とは、従業員の労働に対して支払う費用の総額であり、給与・賞与・各種手当・退職金・福利厚生費・法定福利費(会社負担分の社会保険料)などを含みます。
建設業においては、工事現場で働く従業員だけでなく、経理や管理などの工事に直接関係しない社員に支払う給与等や役員報酬なども含まれます。
工事原価を正確に管理するためには、労務費と人件費を明確に区別することが必要です。
労務費とは、建設工事を行うときに、現場で作業する技術者・作業員・管理スタッフに支払う費用です。
具体的には、作業員に対する給与・日当・各種手当・残業代・賞与などを含みます。
なお、労務費は、施工に直接関わる直接労務費と、施工を支援・管理する間接労務費に分けられます。
人件費は企業全体の人材にかかる費用であるのに対し、労務費は工事に直接かかわる作業員に限定された費用であることが違いです。
外注費とは、外部の企業に工事を委託したときに発生する費用です。
自社が直接雇用する作業員に支払う費用であり、外部業者との契約に基づいて支払います。
工事原価として、労務費と明確に分けて計上されます。
建設工事業における人工代とは、作業員1人あたりの1日の人件費をあらわす用語です。
時間外労働や手当を含まず、8時間労働に対する賃金です。
建設業のコストの1つであり、経営の健全性確保のためにも、正確なコスト管理が求められます。
そのため、人工代を正確に把握し、適切に予算を立ててコストを管理しましょう。
なお、普段から頻繁に依頼する常用工の場合、一般的には外注費として扱いますが、外注でも給与扱いになるケースもあるため注意してください。
契約関係や業務実態などを総合的に判断することが必要となるため、外注費または給与のどちらで扱うべきか迷った場合は、税務署や顧問税理士などに相談することをおすすめします。