
建設工事業における零細企業は、日本の建設現場において重要な役割を担います。
物理的に現場を動かす最小単位の技能提供者であり、最大の功労者です。
単なる下請けや孫請けではなく、建築技術を継承する砦であり、大手や中小では補えない地域未着の対応力と高い技術と技能があります。
どれほど優れた設計図があったとしても、零細企業の職人が倒れたら、建築作業は進まなくなってしまいます。
零細企業は代替不可能なパートナーであり、小規模である強みを活かしやすい立場です。
建設業者の9割を中小零細企業が占めると言われているため、数名規模の会社や一人親方は現場で欠かせない存在といえます。
そこで、建設工事業における零細企業の役割や、抱える問題と生き残りをかけた動きを紹介します。
建設現場における零細企業は、重層下請構造によるピラミッド構造の最前線に位置します。
従業員が数名の零細企業の場合、経営者自身が現役の職人として現場に立つケースも少なくありません。
大工・左官・内装など複数工程をこなす多能工的な動きもめずらしくなく、高い機動力と柔軟性で、補修やリフォーム現場なども支えています。
大手企業では対応しない地域のニーズや修繕、急な雨漏りへの工事など、住民の住まいを守る建物の主治医としての役割を担うのは、地元の零細企業です。
建設業界において、零細企業が抱える問題は、相次ぐ制度改正への対応です。
少人数で現場を回さなければならない零細企業にとって、制度改正は死活問題になる恐れもあります。
たとえば、国税庁が導入したインボイス制度により、従来までは免税事業者だった零細企業は、適格請求書を作成するためだけに課税事業者になって消費税負担を増やすのか、取引除外されるのか選ばなければなりません。
経営体力の乏しい零細企業にとって、廃業を検討しなければならないほどの打撃となっています。
建設工事業で零細企業は、生き残りに向けてデジタルと共生する動きを強めています。
たとえば、建設業新興基金推進の建設キャリアアップシステム(CCUS)により、職人のスキルがデータ化されるようになりました。
この仕組みは、零細企業の職人が大手ゼネコンの現場で、正当な評価による賃金を得る上で武器になるでしょう。
一社で請け負うことのできない工事でも、近隣の零細企業がチームとして受注する動きなども見られます。