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建設工事現場で働く個人事業主が建設業許可を取得するのは困難?

2020.08.07
分類:経営

個人事業主で軽微な工事(1件あたりの工事請負金額が500万円未満の工事)だけを請け負うのなら、建設業許可は必要ないと考えるものでしょう。

しかし軽微な工事なのに、元請業者から建設業許可を取得するように求められる下請事業者も少なくありません。

さらに資金繰りをスムーズにするため、銀行など金融機関から融資を受ける場面でも、建設業許可を取得しておくことが条件に追加されてしまうこともあるようです。

ただ、個人事業主が建設業許可を取得するため許可申請に至るまでには、いろいろな高いハードルを乗り越えることが必要となります。

個人事業主が必要な要件を満たすことを証明するには

建設業許可を取得する要件の1つとして経営業務の管理責任者がありますが、この管理責任者になるためには必要書類の準備が必要です。

経営業務の管理責任者となるには、その条件を満たしていることを、原則、書面で証明しなければなりません。

まず経営業務の管理責任は次のいずれかの条件を満たすことが必要です。

・許可を取得する業種に関しての経営経験が5年以上

・許可を取得する業種以外の業種での経営経験が6年以上

個人事業主で建設業許可を取得する場合も同様で、その経営経験を書面で証明することが必要という部分が大きな妨げになることがあります。

仮に10年以上経験があるので問題なく上記の条件をクリアできると思っても、その内容を書面で証明しなければならないからです。

経験期間を証明するために、経験期間分の受付印付きの確定申告書控えの原本が必要です。

経験内容を証明するには、建設工事の請負契約書もしくは注文書、そして請書をいずれも原本で準備するか、請求書の写しと通帳の原本など通年分準備することが必要です。

管轄の機関によりどの書類が必要となるのか、その量や内容なども異なることがありますので事前の確認しておきましょう。

 

もし手元に必要書類がない場合は?

経験年数分の確定申告書の控えの原本をすぐに準備できればよいですが、紛失している場合や控えに税務署の印鑑などがない場合などはで写しを開示請求しなければなりません。

その場合には1か月程度時間がかかるでしょうし、必要な期間分の写しをすべて受け取ることができるかも不明です。

税務署で原本が保管されるのも一定期間までなので、もし56年分の確定申告書の控えの原本がすべて揃わない場合は許可を申請できなくなってしまいます。

そして通年分の請負契約書等の原本も必要ですが、毎回請負契約書を交わしており、保管できていれば問題ないでしょう。

ただし交わしていなかった場合や、請求書は発行していたけれど手渡しで金額を受領していたという場合など、通帳の履歴で入金確認することができません。

書類を揃えるという作業でまず、許可を申請するところまで行きつかない場合もあるので、将来的に許可を取得することを考えているのなら必要な書類は適切に保管しておくようにしましょう。