工事進行基準における完成工事高とは、長期未成工事を工事進行基準によって収益計上したときの期中出来高をあらわします。請負契約に基づいて工事を完成させ、引き渡しまで完了したその金額です。
建設業者の多くは工事完成基準を採用していますので、この点をしっかり理解しておくことが必要といえます。
完成し引き渡しまで済んだ工事でも、請負金額のすべて、または一部が確定していないなら金額の見積もりを行い請負高として計上します。
請負高の確定後、見積もりした請負高との差額分が発生した場合には、確定日を含む事業年度で完成工事高に含め計上するようにしてください。
完成工事原価とは、完成工事高計上分に対する工事原価です。完成し引き渡しを行った工事でも、工事原価のすべてまたは一部が確定しないなら上記と同様に金額を見積もり工事原価に計上します。
工事原価が確定したときに見積森を行った工事原価と差が発生すれば、確定日を含む事業年度に完成工事原価として計上します。
発生主義とは手元の現金の収支には関係なく、債務や債権が発生したタイミングで収益や費用を認識する考え方です。
債権・債務の発生事実に基づき収益・費用を認識することになるので、経済活動の実態を正確に反映させた期間損益計算が可能になります。
企業会計ではこの発生主義を原則としていますので、損益計算書上は利益が出ていても手元のお金は増えていないということも起こります。
収益の計上については保守主義の原則で実現主義が採用されており、客観性と確実性を加え厳しい認識基準となっています。
材料費や外注費を計上するタイミングは、発生主義の場合には材料が手元に到着した時点、または発注し外注工事が終わった時点などです。
しかし収益を計上するのは実現主義となるため、建物の引き渡しを行い、現金、受取手形、売掛金などを取得したタイミングとなります。
建設業界における会計では、工事原価を材料費・労務費・外注費・経費などの形態的に分分ける方法もあります。
一般的な原価計算基準による原価は、材料費・労務費・経費に区分します。
ただ、工事原価をまとめる完成工事原価報告書については、形態的分類で記載が必要です。
完成工事原価報告書は個別工事の原価計算が基礎になるため、原価を形態的に分けることが必須となるからといえます。
そして建設業界の場合、元請けから下請け、下請けから孫請けというような重層下請構造で外注費が発生することになるため、原価に外注費が加えられています。