粗利益とは売上総利益のことですが、売上から仕入を引いた利益をあらわします。建設工事を行う建設業界では、売上総利益(粗利益)のことを完成工事総利益といいます。
一般的な会計と用いる言葉が異なるため混乱してしまいがちですが、それぞれの言葉の意味や何を指すのか把握しておきましょう。
建設業界における粗利益とは、完成工事高から工事原価を差し引いたものです。
粗利益(売上総利益)=完成工事高(売上高)-工事原価(売上原価)
という計算式で算出します。
決算書上では粗利益ではなく、売上総利益と記載されており、一般的に売上高を示す完成工事高は完工高と略すこともあります。
売上原価を示す工事原価は、原価と略した呼び方をすることもあります。
儲けをあらわす本業による利益は営業利益ですが、粗利益から経費を差し引いて算出します。
営業利益=粗利益(売上総利益)-経費(販売費及び一般管理費)
という計算式で算出できます。
粗利益率とは、完成工事高(売上高)のうち、粗利益が占める割合を示しますので、粗利益を完成工事高(売上高)で割ると算出できます。
粗利益率=粗利益÷完成工事高(売上高)×100(%)
という計算式がなりたちますが、粗利益率こそが粗利○%と呼ばれる部分です。
原価率とは売上高の中で原価の占める割合をあらわしますが、原価を完成工事高(売上高)で割って計算します。
原価率=原価÷完成工事高(売上高)×100(%)
という計算式で算出でき、
粗利益率と原価率を足すと100%になるはずです。
完成工事総利益とは完成工事高から完成工事原価を差し引いて計算しますが、完成工事高は工事による売上高、完成工事原価は仕入高のこととえいます。
建設業の仕入高は原材料費や外注費など、直接工事を行うためにかかった費用などです。
廃材処理費など様々な費用が含まれますが、工事現場ごとの経理や原価管理がしっかりできていなければ粗利益がマイナスを示すこともあります。
工事現場の数が少ないなら把握することも比較的容易にできるでしょうが、数が増えれば管理は難しくなるものです。
粗利益のマイナスは原価割れを示すため、このような事態に陥ることのないように、工事現場ごとの工事原価は適切に管理を行うように心がけていきましょう。