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工事を行う建設業界もグローバリズムからリージョナリズムに転換する?

2020.10.17
分類:経営

新型コロナウイルス感染症の発生地として有名になってしまった中国・武漢ですが、そもそもは自動車部品や半導体といった重要なコンポーネントの製造を中心としたエリアであり、世界の多くの企業に使われています。

しかし新型コロナウイルス感染症の影響により、グローバリズムから地域統合というリージョナリズムに転換することとなり、世界の工場としての役割も縮小しなければならなくなっています。

リージョナリズム化は工事を行う建設業界も同様で、たとえば鉄鋼だけみてもほとんどの国が中国から購入しています。

中国と日本は鋼のトップ輸出国であり、鋼の消費率が高い米国とドイツはトップの輸入国です。

米国も産業用ロボットを導入する?

米国は貿易が自由化され、鋼をどこよりも低価格で購入できることにメリットを感じているからといえます。

しかし中国から近隣に取引が転換されていけば、多くの国が鋼を自国で製造・販売するようになる可能性があります。実際、どの国にも鉄鋼業は存在しています。

きわめて非能率的で有害な方法を使い、鋼を生産している中国から輸入することは環境にとっても悪影響と考えられるでしょう。

米国も多くの鋼を生産できる状況にあるため、供給が増えれば価格は下がると考えられます。ロボット導入などは中国や日本、韓国、カナダとった国よりもおくれをとっているものの、すぐに追いつくことになるでしょう。

すでに知識も技術もあり、参入の障壁もない状況ですが、グローバル化を進めたことによりロボット導入していなかっただけと考えられます。

 

ビルに木材を使うことに人気が高まっている

製造・建設業界に向けた産業用ロボット分野で米国が追いつけば、住宅建設会社もコスト削減に利用していくはずです。

建設業界のサプライチェーンがリージョナル化していくと考えられる理由は気候変動にあります。中層・高層ビルなどがコンクリートや鉄鋼に代わり、木材を使うことに人気が高まっているのです。

巨大な建設業界が存在する北米やロシアなどには十分な木材供給があり、イノベーションを応用して資源をより活用することでリージョナル化を進め、持続性を高める方法にもなるでしょう。

世界のサプライチェーンが新型コロナウイルス感染症の影響で不安定になり整理されていけば、貿易や経済の規制も変わってくる可能性があります。そしてそれは、建築部材の製造分野におけるリージョナル化につながるのです。

これまで慣れ親しんできた元の状態に戻ることを待っている方は多くいますが、戻ってくる仕事はあっても一部は自動化されることとなり、新たな産業も生み出されることになるはずです。元の経済に戻るのではなく、新しい状態になると考えるべきでしょう。