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個人の建設工事業者が法人化するメリットは法人税の税率にある?

2020.11.06
分類:経営

現在、個人事業主として建設業者を営んでいる方も多くいますが、そろそろ法人化しようかと考えることもあるでしょう。

法人設立件数は増えつつあり、中でも建設業はサービス業に次いで2番目に多く会社が設立されています。

しかし法人化すると気になるのが法人税や法人設立にかかる費用などでしょうが、それらを払拭できるほどメリットもあると考えられているようです。

そこで、実際どのような点でお得なのかなど、法人化のメリットとデメリットをご紹介します。

法人化により税金の扱いはどう変わる?

法人化することで最もメリットとして大きいのは節税効果が見込めることです。

法人であれば経営者本人に役員報酬を支払い一定条件のもとで損金として認められますが、個人事業主は自身に給料を支払うことはできません。

役員報酬を受け取れば経営者本人が所得税を納めることは必要になりますが、給与所得控除を適用させて納税額を抑えることも可能です。

なお、役員報酬は毎月同じ金額を支払わなければ損金に算入できないので、その点は注意が必要にはなります。

さらに定期外の出費は役員賞与となるため、税務上、損金算入できない点も注意しておきましょう。

 

法人税なら所得が増えても税率は上がらない

そして法人を設立した場合には法人税を納めますが、一定税率が適用されることになります。

個人事業主は所得税を納めることになりますが、所得が増えれば税率も高くなる累進課税制度が適用されているため、所得によって545%までの税率がかかります。

それに対し法人税は税率が一定である上に、資本金1億円以下の中小企業なら800万円以下なら15%、800万円超であれば23.2%と変動がないことが特徴です。

多く稼いでいるのなら、節税効果が大きく見込めることにメリットがありますが、あまり稼いでいないと感じるのなら法人化で節税メリットを期待することはできないと考えられます。

 

建設業許可取得のために法人化する必要はない

なお、建設業許可を取得するために法人化したいと考える方もいるようですが、個人事業主でも許可は取得できます。

建設業許可は、500万円以上の工事を請け負うときに必要になりますが、その要件として経営管理責任者や専任技術者を設置すること500万円以上の資金調達能力または自己資本が500万円以上あるなど財産を保有していること(または過去5年継続して営業実績があること)、欠格要件に該当しないことなどであり法人化は要件とされていません。