建設工事を営む企業が経営を続けるためには、粗利補償できることを重視する必要があります。
そのために必要粗利益額を算出し、目標とすることが必要です。
建設会社はこれまで売上高を向上させることを目標とした会社が圧倒的に多いですが、経営を改善させたいなら目指すのは必要粗利益額といえます。
必要粗利益額を計算するのなら、現場の労務費以外の人件費や事務所家賃などの一般管理費に対し、借入金で支払う支払利息を加え、借入金の元金返済・賞与などの社員待遇改善費・一定の設備投資や予備費といったその他を上乗せします。
建設会社の健全経営には、ここで計算した金額が最低限必要となるため、粗利補償を実践していきましょう。
必要粗利益額を設定することは経営方針を決めることと同じなので、経営者などトップが行うことになります。
売上高に対する粗利益の割合が利益率ですが、利益率を出す前にすでに必要粗利益額が決まっているのなら次に売上高をどうするか決めることになります。
利益を上げるなら売上も比例させ上げていくことが一般的ですが、たとえば売上高は前年並みまたは過去3年の平均程度に決める方法でもよいでしょう。
売上高を重視してしまうと、前年よりも〇%向上させるといった考えになるため、利益を上げるのではなく売上を上げることに目標が定まってしまう可能性があるからです。
売上を上げるには受注量も増やすことが必要になるので、営業や業況などによるところもあります。
想定していたより受注できなかった事態も起きるかもしれませんし、受注量が増えれば管理業務も増えるので工事を担う社員の負担も重くなってしまいます。
人数が十分であればよいですが、そうでなければ負担が重く、人的なミスにつながる可能性もあるため、現場に全力を尽くしてもらい原価管理をしてもらったほうがよいでしょう。
必要粗利益額と売上高さえ決まれば、全体が目指す利益率も出てきます。
顧客規模や部門種別により利益率は違ってきますが、規模が大きな工事ほど粗利益率は低くなり、規模が小さい工事では高くなる傾向があります。
部門別に設定する利益率は、これまで引き受けた仕事の実績や次の段階となる現状把握を踏まえながら、部門ごとの責任者とすり合わせを行い数値に落とし込んでいくことが必要です。いずれにしても大切なのは、設定した必要粗利益額を達成できる利益率を把握することといえるでしょう。