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建設工事現場の人材不足は今後ますます拡大される?

2020.12.06
分類:経営

建設業は慢性的な人手不足に悩まされているため、現場でも人手が足りず完成まで期限を迫られる中、対応に追われていることは少なくありません。

具体的に工事現場の人手が不足する理由として挙げられるのが、若者の募集が進んでいないことです。建設業界だけに限らず、少子高齢化ですべての産業や業界で人手が不足している状況ですが、実際のところ建設業界の有効求人倍率は上昇傾向にあります。

しかし天候や季節を問わず外気にさらされ長時間作業を行わなければならず、さらに資材運搬や機器の取り扱いなど肉体にも負担が重く、リスクを伴う工事現場の作業などで人気がありません。

高齢化する人材といずれ訪れるリタイアのタイミング

建設業の人手不足は、東京オリンピック・パラリンピック関連の工事が増えたことや、復興支援なども背景にあります。

需要は拡大しているものの人手が不足し、仕事を受注したくても受けることができない建設業者も発生するなど厳しい状況に陥っているといえます。

リーマンショックの直後は公共工事や民間の設備投資などが控えられ、建設需要も低迷しました。

そのタイミングで経験を積んだ職人が大量に建設業を離れることとなったわけですが、景気が回復したときに育てる側が存在せず、技能者の復帰数も伸びず人材が不足してしまいました。

現在、建設業界で働く就業者は55歳以上が大半を占めており、いずれ経験を積んだ職人が大量にリタイアすれば、ますます人手不足に陥ることとなるでしょう。

 

給料を削減すれば人材不足に拍車をかけることに

人手が不足している状況の中、公共事業の仕事を得ようと入札に参加する建設会社もいます。

公共事業を請け負うことができれば、社会的にも信頼性を得ることができ、人材獲得にもつながりやすくなるでしょう。

税金を投入する公共事業ではもっとも経費のかからない企業に発注されることになります。建設会社の判断だけで工事費を削ることを可能とする部分が一般管理費ですが、この一般管理費を下げることは作業員の給料も下げることと考える経営者もいます。

そうなると就業者の労働条件を低下させることとなり、さらに人材不足に拍車をかけることになるとも考えられるでしょう。

そこで国土交通省では、建設会社が工事費用を計算する場合の一般管理費は、一定割合以上にしなければならないルールを設けています。給料だけを極端に減少させ入札することはできないということです。

そもそも給料面を冷遇することは、人材不足をさらに深刻化させることになりますので、それらも踏まえ今不足する人材をどうやって獲得していくべきか対策を考えていくことが必要です。