「建設業法令遵守ガイドライン」は、元請負人と下請負人の関係で、どのような行為が建設業法に違反するか具体的に示すためのものです。
それにより、法令違反行為を防ぎ元請負人と下請負人が対等な関係を築き、公正で透明な 取引を実現させることを狙い、国土交通省が策定しています。
ガイドラインでは、建設業の下請取引でその流れに沿った形で法令遵守が必要となる12項目ごとに、
・建設業法上違反となる行為事例
・建設業法上違反となるおそれのある行為事例
など具体例を示しています。
そして、法令の規定の趣旨や留意すべき事項など、解説も掲載されるため大変わかりやすい内容です。
ガイドラインは、国土交通省の公式サイトに掲載されているため、建設業者が建設業法を遵守するためにも活用しましょう。
建設産業が抱える大きな課題といえるのが、行き過ぎた重層下請構造です。
過度に重層的に広がるピラミッド構造は、役割や責任の所在がわからなくなるだけでなく、品質や安全性を低下させます。
それだけでなく、下請の対価が減少したり労務費にしわ寄せを与えたりなど、いろいろな影響や弊害が指摘されているといえるでしょう。
しかし元請負人のほうが下請負人よりも強い立場であることが多く、下請負人は不当な契約を結ぶしかないといったこともこれまでは少なくありませんでした。
このままではいけないと、この重層下請構造による適正をいえない契約をなくす取り組みなどは行われていますが、その1つが建設法令遵守ガイドラインです。
元請負人と下請負人との間で交わされる下請契約は、発注者と元請負人が交わす請負契約と同じく、建設業法に基づく請負契約です。
そのため、元請負人と下請負人が契約を結ぶときには、建設業法に従って契約することが必要となります。
さらに元請負人と下請負人との関係に関し、どのような行為が建設業法に違反することになるか理解されていないケースも少なくありません。
そこで、これらを具体的にガイドラインで示すことにより、知らなかったでは済まされない法令違反行為を未然に防ぎ、元請負人と下請負人が対等に関係を築き公正取引ができるようにしています。
なお、ガイドライン内の中小企業庁及び公正取引委員会が実施した「下請代金の支払手段について」は、支払条件改善に向けた手形サイトの短縮化や割引料など、コストを示すことなど見直しがされ改訂されています。