株式会社で取締役など役員を選任するときには、株式総会の決議が必要となりますので、株式会社を設立している建設業者は手続を忘れないようにしましょう。
株主総会の決議は普通決議事項とされており、人数ベースではない議決権ベースの過半数の株主が出席し、出席株主の議決権の過半数がなければ認められません。
株主総会で選任された取締役が役職の就任を承諾することにより、正式に取締役として就任します。
建設会社に限らず、株式会社の取締役は、株主総会の普通決議により選任されます。
定款によって普通決議の要件の変更は可能ですが、取締役選任の場合には一定制限のもとで取締役選任に関する株主総会の決議要件を変更できます。
・定足数は議決権の3分の1以上に変更が可能
・決議要件は過半数を超える割合にすることが可能
なお、取締役選任に関する決議ではない普通決議は、定足数の要件を完全に排除できます。
会社法によると、取締役には欠格事由というものがあり、次のいずれかに該当するときには取締役に就任できません。
・自然人ではない(法人などは取締役になれない)
・成年被後見人・被保佐人・外国の法令上左記と同様に取り扱われている者
・会社法・一般社団法人及び一般財団法人に関する法律・金融商品取引法・民事再生法・破産法・会社更生法に規定する罪により刑に処せられ、執行後、または執行を受けることがなくなってから2年を経過していない者
・上記以外の法律に違反し、禁固以上の刑に処せられ執行を終えるまで、またはその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者以外)
以前までは、破産手続開始決定を受け復権していないと欠格事由に含まれましたが、新会社法では欠格事由には含まれていませんので、破産手続開始決定を受け復権前である場合でも、取締役に就任は可能です。
ただし破産手続開始決定を受ければ取締役の地位は一旦失うことになるため、引き続き取締役を続けるのなら新たに取締役として選任され手続する必要があります。
定款により、取締役の資格の制限も可能です。
ただし、株式の譲渡制限がない公開会社は、取締役が株主でなければならないことを定款で定めることはできません。
株式の譲渡制限が付された非公開会社では、かかる制限を定款で規定できます。