労務費とは人件費の1つであり、特定の工事を行うときの原価を指しており、工事に必要となる費用には工事に関係した従業員の人件費も含まれます。
そして労務費は直接労務費と間接労務費に分けることができますが、人件費と労務費は何が違うのか理解しておきましょう。
人件費とは、従業員の給与や賞与などのことですが、会計処理上では次の3つにわけることができます。
・労務費…製造に直接かかわる費用
・販売費…販売に直接かかわる費用
・一般管理費…会社の管理にかかわる費用
そのため労務費は人件費に含まれる1つといえますが、製造業なら製品を生産するときの労働力の原価であり、建設業なら建築物を工事するときの労働力の原価と言い換えることができます。
労務費用の内訳として、主に次のような費用が挙げられます。
製造や工事に関する従業員の給与
アルバイトやパートタイム労働者として時給で働く従業員の賃金
従業員の賞与や各種手当
退職金の支払いに備え、積み立てている費用
健康保険や雇用保険など
労務費は工事の過程で直接工事に関わる直接労務費と、直接労務費に含まれない間接労務費に分けることができます。
加工や組み立てなどに直接関係する直接工の賃金が直接労務費のほとんどを占めます。
直接工が間接作業を行う場合もありますが、直接作業以外は直接労務費に含まれませんので注意しましょう。
直接労務費に含まれないすべての労務費であり、間接工の人件費がその多くを占めます。
たとえば機械の修繕や清掃などを担当する従業員が間接工です。
他にも事務員の給与なども間接労務費に該当します。
直接労務費は、1時間あたりの賃金と作業時間を掛けて計算します。
直接労務費の賃率=直接工の賃金÷直接作業の総時間
となり、賃率を算出した後に工事の時間を掛ければ直接労務費を算出できます。
なお、直接工が間接作業を行っていたときのため、直接作業時間を記録しておくことも必要です。
建設業が労災保険料を計算するときには、
賃金総額×労災保険率
という計算式を使います。
建設業では1次や2次、3次と請負契約によって下請負人の労働者数が多くなりやすいため、賃金総額が求めにくいといった特徴が見られます。
そのため保険料の納付義務がある元請けは、労災保険料を適切に計算しにくいため、労務費率に請負金額を掛けて得た額を賃金総額としてもよいとしています。
労務費率は工事の事業内容により細かい決まりがあり、比率に応じた計算が必要となります。