建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設工事は元請けから下請けといった重層下請構造がなぜ存在するのか

2021.12.16
分類:経営

建設業では様々な建設業者が存在しますが、1つの工事に関係する建設業者は元請けと下請けという立場に分かれます。

元請けと下請け、さらには下請けと孫請けにひ孫請けなど、ピラミッド型の重層下請構造により仕事は発注・受注されるのが建設業界の特徴です。

そこで、なぜ建設業界では元請けや下請けという仕事の請け負いが当たり前のように行われているのか、その背景をご説明します。

建設業界の仕事の受発注の流れ

建設業界では、元請けが発注先から仕事を請け負い、元請けは業務の一部を下請けに委託します。そして元請けから仕事を請け負った下請けも、さらに孫請けとなる業者に仕事を発注するという流れが一般的です。

この重層下請構造は、一次請け・二次請け・三次請け…と続き、五次請けとなる業者も存在するほど次々に仕事が委託されています。

その理由として挙げられるのは、建設業の仕事は時季により波があるからです。

繁忙期と閑散期が存在することになりますが、元請けが下請けに任せる仕事まですべて自社で引き受けようとすると、多くの人材を必要とします。

忙しくない時期でも雇用した人材の給料は発生することになるため、人件費負担が重くなりがちです。

そこで、忙しい時期に下請けに仕事を外注してもらうことで、社内の人員を増やさなくても効率的に会社経営ができるようになります。

元請けから仕事を請け負った下請けも同様に、自社で対応できない仕事を孫請けに依頼するという流れが一般的です。

 

下請け以下の業者ほど資金繰りが厳しいことへの配慮も必要

元請けに位置する建設会社は、請け負った工事のスケジュール管理、下請けに委託する仕事の配分や賃金価格などを決めます。

ゼネコンと呼ばれる会社がこの元請けとなる会社であり、1つの工事に対し複数の業者が参加することになるため、適切な管理が求められます。

建設業界は建築物が完成した後で報酬が支払われるため、下請けや孫請け、さらにその下の業者は代金を受け取るまで時間がかかります。

そのため国も工事請負代金の支払いについて、下請け以下の業者が資金繰りに困窮しないように、元請けの配慮が必要とガイドラインで示しています。

下請けから資金繰りについて相談があったときには、前金を支払うことや支払いの早期化、貸付けなどを行うことが必要としているのです。

そもそも下請け以下の業者は、中間マージンが差し引かれた状態の報酬を受け取ることになるため、実際に入金があったときにもその金額は下位に位置するほど少なくなります。

その点も踏まえ、元請けは下請け以下の業者の資金繰りにも配慮することが必要といえるでしょう。