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工事業者が結ぶ「請負工事」の注意点と押さえておきたいポイント

2022.02.02
分類:経営

建設業の場合、工事を発注する発注者から、仕事を請けて工事全体をまとめる元請、さらに元請から業務を請け負う下請が存在します。

このような請負工事が建設業において主流となっていますが、そもそも「請負」とはどのような意味なのか、「雇用」や「委任」と何が違うのか説明していきます。

「請負」「雇用」「委任」の違い

「請負」「雇用」「委任」、いずれも建設業法により、その定義について記されているため確認しておきましょう。

「請負」とは

「請負」の定義については建設業法第632条に以下のとおり記されています。

“請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。”

「雇用」とは

「雇用」の定義については、建設業法第623条に以下のとおり記されています。

“雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。”

「委任」とは

「委任」についての定義は、建設業法第643条に以下のとおり記されています。

“委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。”

 

請負工事のポイント

請負工事では「完成」がポイントとなるため、請負工事契約では地方自治体などの発注者は仕事を受注する建設業者などに対し、建設工事を完成させることを依頼します。

それに対し受注者は、建設工事を完成させ発注者に引き渡すという流れですが、報酬は完成品が引き渡された段階で受注者に対し支払われることになります。

受注者は契約内容通り、完成品を引き渡すことで建設工事の内容まで問われることはなく、完成に向けて下請なども自由に使用できます。

そのため契約で決まった期間内で、完成させるために想定していた人工より少ない人数で施工できれば、人件費はその分削減できることもあるということです。

ただし期日内に完成できていた場合でも、その品が契約内容を満たしていないときには、発注者から受領を拒否され報酬の支払いも停止されることがあります。

 

請負工事は契約書がなくてもよい?

民法上での「契約」は、当事者同士の合意により成立するため、書面を交付することは必要とはされていません。

しかし実際には、どのような条件で契約するのか、双方の意思確認や成立の証拠として残すためにも、契約書を作成しておいたほうがよいといえます。

口頭のみの契約の場合、内容の確認が難しくなり、後で「言った言わない」といった水掛け論を含む問題が起きてしまう可能性があります。

なお、建設業では建設業法により、工事の請負契約は必ず契約書を交わして行うことが必要と定められているため、忘れずに書面による契約を結ぶようにしましょう。