建設業界で用いられることの多い「人工(にんく)代」とは、1日仕事を行ったときに発生する人件費のことです。
この人工代とは、元々は職人の方が賃金を計算するときに用いる言葉だったのですが、今では建設業界全体で使用されています。
そこで、人工の費用はどのように計算すればよいのか、適切とされる金額などについてご説明します。
なお、1日の仕事において発生する人件費を人工代といいますが、半日の仕事であれば半人工という呼び方に変わります。
1人工にかかる費用は業者によって異なりますが、たとえば国土交通省が公表している2019年3月からの公共工事設計労務単価を確認すると、
・普通作業員21,100円
・特殊作業員24,200円
・軽作業員15,100円
・とび工27,000円
・石工27,300円
・ブロック工25,300円
・電工25,500円
・鉄筋工27,200円
・鉄骨工25,400円
・塗装工27,900円
・溶接工29,900円
といった金額を参考にすることになります。
これらの単価は所定労働時間内8時間あたりの単価であり、時間外や休日・深夜労働に対する割増賃金、職種ごとの通常の作業条件や内容を超えた労働に対する手当などは含まれていません。
そして公共工事の工事費を積算するときに使用する単価なので、労働者に対する支払い賃金を拘束するものではないと考えられます。なお、この単価は年度ごとに変更されるので、あくまでも目安として参考にするとよいでしょう。
人工の計算をする場合、たとえば1人工が3万円とした場合、実労働日数が20日である20人工であれば60万円、半日で終わる仕事である0.5人工なら1万5千円という計算になります。
人工は8時間の労働時間に対しての単価であり、休日や残業などの手当は含みませんので、休日手当や残業手当は別途考慮して考えることが必要です。
仮に30人工を期間にあらわす場合には、実労働日数30日のことなので、土日は休みと考えれば1か月は22日稼働となることから、1か月と1週間程度になるといえるでしょう。
建設業界の人工は1日仕事をしたときに発生する人件費のことですが、1人工は会社ごとに異なります。ただ、先にも述べたとおり国土交通省が労務単価を公表していますので、相場として考えることはできるはずです。
作業を依頼する職人の人工代などを決めるとき、目安として参考にして考えればよいですが、必ずしも公表されている金額に合わせなければならないというわけではありません。