建設業の労災保険は一般的な業種の労災保険とは異なります。
建設工事の元請業者の加入する労災保険によって、元請業者の労働者だけでなく下請業者の労働者の労働災害も補償される形となりますが、これは建設工事の現場がいつも同じでないからです。
そして建設業の労災保険料は元請工事の金額を基準として計算することとなるため、特殊ともいえる建設業の労災保険についてその内容を把握しておきましょう。
まず建設工事現場ごとに労災保険に加入することが大きな特徴です。建設工事の元請業者は、建設工事が開始された日から10日以内に労災保険の保険関係成立届の提出を行います。
仮にうっかり忘れていたという場合でも、自動的に労災保険には加入したことにはなります。
ただ、この保険関係が成立していない状態で労災事故が起きてしまうと、加入手続きを行っていなかったことによる労災保険料の未納分のペナルティともいえる費用徴収制度が適用されます。
費用徴収制度が適用された場合には、
・加入手続きを行うように行政機関から指導などがあったのに手続きを行っていなかった期間に労災事故が発生した場合は、保険給付額の100%が徴収の対象
・加入手続きを行うように行政機関から指導などはなかったものの、工事開始日から1年を経過しているのに加入手続きを行っていない期間に労災事故が発生した場合は、保険給付額の40%が徴収の対象
となるので必ず手続きを行いましょう。
建設工事の現場には、労災保険に加入していることを示す労災保険関係成立票を掲示することが必要とされています。
掲示内容は、
・保険関係成立年月日
・労働保険番号
・事業期間
・注文者の氏名
・事業主の住所と氏名
・事業主代理人の氏名
などが必要です。
なお、建設工事現場に掲示しなければならないのは労災保険関係成立票だけでなく、建設業の許可票や建築基準法による確認済証なども必要とされています。
労災保険での継続事業とは事業終了時期が予定されていない事業で、有期事業とは終了時期が予定されている事業です。
一般的な事業であれば、廃業や倒産に至らなければ事業は続くので継続事業となります。ただ、建設工事は工期内のみその作業を続けることとなり、終了時期が予定されていることから有期事業として扱われています。
労災保険の加入手続きを行う場合、有期事業は継続事業とは異なって、工事現場の所在地を管轄している労働基準監督署で手続きが必要ですので注意しておきましょう。