建設業の年次有給休暇の計画的付与とは、年次有給休暇のうち、5日を超える部分に前もって取得する日を決めて、休暇を取得させる制度です。
残業規制などとともに、年次有給休暇の取得率を向上するための制度といえます。
建設業でも従業員が有給休暇を取得しやすくなるため、人材の定着率向上や人材獲得につながりやすくなるでしょう。
そこで、建設業における年次有給休暇の計画的付与について、時季指定による付与との違いを紹介します。
年次有給休暇の計画的付与とは、従業員の年次有給休暇の取得率を上げるための制度です。
労使協定を結ぶことで、年次有給休暇の5日を超える分は計画的に付与できます。
通常の有給休暇取得と計画的付与では、取得時季の指定方法に違いがあります。
まず、通常の有給休暇は従業員が取得する日を指定します。
対する計画的付与では、労使協定で取得日を定めるため、従業員が個別に取得日を指定はできません。
有給休暇の計画的付与は義務ではなく、取得を促すため方法のひとつとして実施されています。
計画的付与と時季指定による付与の違いとして、以下の4つが挙げられます。
・労使協定の要否
・対象者
・対象日数
・従業員への取得希望日の聞き取り
計画的付与は、有給休暇の取得率を向上させるために会社で一斉に行います。
そのため従業員へ取得時季の希望などのヒアリングは不要です。
時季指定による付与は従業員が行うべき取得日の指定を会社が行います。
会社は従業員に年5日以上の有給を消化させる義務があり、従業員から有給取得の申し出がなければ消化日数は5日に到達しません。
この場合、会社から従業員へ取得希望日を聞き取り、会社から取得日を指定して有給休暇を取得させます。
計画的付与で従業員が取得した日数は、事業主の指定する5日から控除できます。
計画的付与できる有給休暇日数は、年次有給休暇のうち5日を超える部分です。
付与されている日数から5日を引いた日数が対象であり、前年度繰越分があれば繰り越し日数を含めた日数から、5日を差し引いた日数を計画的付与の対象にできます。
計画的付与制度の導入は、就業規則の変更と労使協定締結が必須とされているものの、労使協定の労働基準監督署への届出義務はありません。