
建設業の2024年問題とは、2024年4月1日から時間外労働の上限規制が適用されたことで、建設業界における課題の総称です。
長時間労働が常態化していた建設業が、労働時間の制限により、工期遅延や人手不足の深刻化がさらに進むことといえます。
そこで、建設業の2024年問題について、これまでの状況や時間外労働の上限規制を解説します。
建設業の2024年問題とは、2024年4月に「働き方改革関連法」が適用スタートするまでにおいて、建設業界が解決しなければならなかった労働環境問題です。
実際、すでに働き方改革の適用はスタートしていました。
しかし、建設業では一部の働き方改革の適用について、5年間の猶予期間が設けられていたため、2024年4月の適用開始となったといえます。
猶予期間が設けられていた背景には、建設従事者の高齢化や人材不足により、現場の長時間労働が常態化しているなどの労働環境問題が関係しています。
短期での問題解決が難しいと判断されたため、建設業では働き方改革関連法の適用が5年後の2024年4月に延期されました。
国土交通省の資料「建設業における働き方改革」による情報を確認すると、建設業における2007年度の年間実労働時間は平均2,065時間でした。
これに対し、2016年度は2,056時間だったため、10年経過してもほぼ変化がないといえます。
調査産業計の年間実労働時間は、2007年時点で1,807時間でした。
これに対し、2016年には1,720時間となり、短縮されたといえます。
年間出勤日数も、2016年時点での調査産業計は222日であるのに対し、建設業は251日です。
約1か月分多いため、時間外労働の上限規制の猶予期間が設けられていたことも、このような労務環境が関係していたと考えられます。
建設業でも、2024年4月からは時間外労働時間に罰則付で上限の対象です。
働き方改革関連法が施行された後でも、建設業では労使間で36協定を締結し、届出をしておけば時間外労働時間に上限規制はありませんでした。
法定労働時間を超過しても、罰則の対象にならなかったといえます。
しかし、今回、時間外労働の上限規制が適用されたことで、建設業でも従来までの対応はできなくなりました。
時間外労働時間の上限規制は、原則、月45時間以内・年360時間以内です。
やむを得ない事情があり、労働者と事業所が合意したときには特別条項が適用され、例外で年720時間(月平均60時間)の時間外労働が可能となります。
特別条項に該当した場合でも、労働時間の上限を守ることは必要です。
ただし、災害からの復旧・復興の業務に限って、2〜6か月の平均が80時間以内の要件と、月100時間未満(休日労働含む)は適用されません。